超音波フェーズドアレイによる気泡群への音波照射法の研究
【研究キーワード】
気泡群 / 気泡振動 / 超音波 / トランスデューサアレイ / 音響減衰計測 / 超音波造影剤 / 超音波診断 / マイクロバブル / 超音波フェーズドアレイ
【研究成果の概要】
本研究課題(2年計画)では、血管の造影超音波検査に用いられる気泡群に対する音波照射法の検討を行う。気泡群は、数密度および分布形状によって、固有振動数および振動減衰が変化する。このため、照射音波の周波数に加えて、照射音波の音圧および振動位相の空間分布によって、振動応答が変化すると予想される。そこで、超音波トランスデューサアレイ中の各素子の駆動位相を変化させ、気泡群が分布する領域に振動位相の空間パターンを形成する。このパターニングにより、ある一つの気泡群において、複数の振動応答の励振を試みる。気泡群を透過した音波の音響減衰を計測することにより、それぞれのパターニングに対して、気泡群の振動強度を推定し、照射音波の空間パターニングの効果を実証する。さらに、気泡力学モデルに基づく固有値解析により、気泡群の数密度と分布形状に対して、固有振動数と減衰を求め、実験結果との比較を行う。これにより、照射音波のパターニングを用いた、気泡群の振動制御の可能性を検討する。
令和3年度(1年目)の研究では、リニア型の超音波トランスデューサアレイの駆動位相操作を実装し、ハイドロホンを用いた音圧計測により、照射音波の音圧振幅と位相のパターニングを実験的に確認した。さらに、気泡群を透過する音波の減衰を計測し、気泡群の振動による音響エネルギーの損失を評価した。透過減衰が大きいほど、気泡振動によって散乱・消散する音響エネルギーが大きくなることを利用して、気泡群振動に対する照射音波パターニングの効果を評価した。さらに、気泡群の固有値解析を行うための力学モデルを定式化し、気泡群の数密度、形状および気泡径分布に対して、固有振動数および減衰を求める解析手法を構築した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)