ディスク型SOFCを模擬した平行円板流路におけるガス流動の最適化
【研究分野】流体工学
【研究キーワード】
固体酸化物型燃料電池 / ディスク型SOFC / 放射状流れ / PIV / 流量 / はく離 / 低レイノルズ数 / 数値シミュレーション / 渦 / 逆流 / はく離流れ
【研究成果の概要】
固体酸化物型燃料電池(SOFC)の一種であるディスク型SOFCの流路を想定し、平行円板間に生じる放射状ガス流動の特性について検証を行なった。SOFCに供給される空気および燃料は、電気化学反応を伴う高温場で流動するため、実際の運転条件下で流動状態の詳細を計測することは困難である。したがって本研究では、実機と同規模の流路を作製して力学的に相似な流れ場を再現し、その流動特性のみに着目して、円板間放射状流れの特徴を実験的に調べた。
流れ場の計測には粒子画像流速計(PIV)を適用し、円板に平行な面内と垂直な面内の速度ベクトルを異なる流量のもとで取得した。さらに、速度場のデータから、ポアソン方程式を用いて圧力場を推定した。
燃料の流れを模擬した実験では、流量の増加とともに、アノードに相当する壁面付近において流れの増速される領域が局所的に現れた。また、このような非一様性は、速度場から推定した圧力係数の分布によっても確認された。この現象は、壁面近傍における粘性効果の増減と、流量変化に伴う慣性力の増減とのバランスで定まるものであり、本実験条件下ではレイノルズ数が7程度の流量において、もっとも一様な流れ場が得られた。
空気流路内の流れを模擬した実験では、流路の構造上、流入口付近で大規模な渦が観測された。また同条件で行った数値シミュレーションでは、このような渦が空気流の予熱や流路の温度こう配に影響を及ぼすことが示された。したがって、燃料電池に供給する空気の流れとしては、大規模渦に起因する不均一を抑制するため可能な限り低流量に設定した運転を行なうことが重要であり、本実験で使用した流路形状に対しては、レイノルズ数が30程度になるような流量で流れが最適化された。さらに流れの均一化を図るためには、空気流の吹き込み方法についても検討を加える必要がある。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
末包 哲也 | 東京工業大学 | 炭素循環エネルギー研究センター | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】3,200千円 (直接経費: 3,200千円)