溶融炭酸塩型燃料電池の構成材料の熱物性に関する研究
【研究分野】熱工学
【研究キーワード】
燃料電池 / 熱物性 / 溶融炭酸塩 / 温度伝導率 / 強制レイリー散乱法 / 高温融体
【研究成果の概要】
本研究では,溶融炭酸塩の温度伝導率測定を目標として,加熱源にCO_2レーザーを用いた強制レイリー散乱法を適用し,測定装置の開発および誤差要因の検討を行い,溶融炭酸塩の測定を試みた。本年度の成果は以下のようにまとめられる。
(1)加熱方法に光学窓を必要としない自由表面加熱法を適用し,そのための3次元的な光学系を開発した。その結果,従来の方法に比べより幅広い物質への適用が可能になった。
(2)常温のトルエンおよび水を測定することにより,加熱時間による影響と2次元熱伝導の影響を明らかにした。さらに,これらの原因によって生じる誤差の解析を行い,誤差を補正するための新しい解析法を考案した。
(3)腐食試験により,サファイアガラス,MgO単結晶,ZrO_2単結晶の溶融炭酸塩に対する耐食性を確認し,炭酸塩の測定でこれらの容器材料が使用可能なことが明らかとなった。
(4)2元系共晶塩(Li_2CO_3-K_2CO_3:62-38mol%,Li_2CO_3-Na_2CO_3:53.3-46.7mol%)の測定を行った。温度範囲は前者が790〜860K,後者が790〜1030Kである。従来のデータと比較して,絶対値および温度依存性ともに小さい結果が得られた。
(5)以下の3種類の単塩について測定を行った。Li_2CO_3:1070〜1355K,Na_2CO_3:1163〜1300K,K_2CO_3:1225〜1445K。温度伝導率の測定値の再現性は±10〜15%であった。
(6)今回の測定結果と従来のデータと比較したところ,絶対値および温度依存性ともに小さい結果が得られた。特にその絶対値については,従来のデータは今回に比べて2倍以上も大きく,高温における対流やふく射による誤差が非常に大きかったことが明らかとなった。
【研究代表者】
【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1994 - 1995
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)