高機能光源の利用を拡げる微小光共振器による高繰り返し光パルスシード源の開発
【研究キーワード】
光エレクトロニクス / 量子エレクトロニクス / フォトニック結晶 / 機械学習 / 微小光共振器 / 光周波数コム / 非線形工学 / 非線形光学 / レーザ工学 / 微小光学 / パルスレーザ
【研究成果の概要】
微小光共振器を用いた光周波数コム発生に用いるMgF2微小光共振器の切削加工における,限界切込み深さについて詳細に調査を行った.特に結晶の方位面依存性について調査を行った.この成果は国際学術誌にて発表した.
MgF2微小光共振器を用いてソリトンコムを生成することに昨年度成功していたので,ソリトンコムを用いた応用開拓研究に進展させた.その一つの具体例としてDWDM光伝送に取り組んだ.DWDM光伝送では,送伝送容量1.4TBpsが実現できることを実験的に示した.
また,SiNマイクロリングでもソリトンコムの生成に成功した.熱が発生するよりも前にソリトンモードロックに必要な波長離調状態を実現させる必要があることが知られているので,SSB変調器を用いて高速に光波長を掃引した.それでSiNマイクロリング共振器でもソリトンコムを生成し,SiNマイクロリングとMgF2共振器によるソリトンコムの比較検討を行った.その結果,いくつかの重要な知見が導き出された.例えば,DWDM応用に必要な10GHz間隔でのコム生成にはMgF2共振器が有利であるが,高いSNを実現するために必要な1チャネル毎のパワーはSiNマイクロリングの方が有利である.検討を詳細に行い,光伝送,LiDAR,分光などの応用でどのプラットフォームによるマイクロコムを用いればよいかの指針となる知見を明らかにした.
Er添加微小光共振器を用いた自励発振によるパルス光源開発に関しては,前年度までに得られた実験データを詳細に分析し,さらに非線形シュレディンガー方程式を用いて得られた実験パラメータに基づいて,モードロックレーザの実現可能性について調査を行った.この成果は国際学術誌にて発表した.本年度はさらに,可飽和吸収領域と利得領域を分離することが可能な結合共振器系を用いて,モードロックの条件を緩和させることができるか検討した.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2019-04-01 - 2024-03-31
【配分額】44,590千円 (直接経費: 34,300千円、間接経費: 10,290千円)