マイクロサージェリーロボティクスの展開と微小外科手技のデジタル情報化の研究
【研究分野】脳神経外科学
【研究キーワード】
脳・神経 / 医工学 / ロボット工学 / シュミレーション工学 / 微細手術
【研究成果の概要】
本研究では脳神経外科領域で使用可能なMicrosurgery robotic systemの開発・改良とRoboticsおよび工学技術を用いた微小外科手術の科学的解析をおこなった。
まずRobotic systemの開発・改良に関しては、(1)2.5mm径の深部での手術に対応可能なオフセット型Robot manipulatorを作成し、非常にせまい術野でも操作でき、かつ視野系(マイクロスコープやビデオ顕微鏡、内視鏡)とのスペースの競合をなくすことが出来るようになった。これに関しては特許出願申請中である。(2)ついでこれに中間部分をつけ実際に器具が消毒可能な\であり、装着使用により滅菌状態が保たれることを確認した。さらに(3)手首より先で手術をおこなうことが多い微小外科手術に対応したMaster manipulatorとしてジンバル機構を取り入れたマスターを製作した。当システムを用いて基礎実験・動物実験をおこなっている。
次いで微小外科手術の科学的評価・技術伝承を目的として、外科手技の評価・デジタル情報化をおこなった。まず(1)Robotic systemでおこなわれる血管吻合手術の最適縮小率を測定し5:1~10:1が最適であること。(2)微小外科初心者による外科手技習熟がROBOTを用いるときわめて早いことを確認した。さらに(3)Master三次元位置・動作情報を100Hzシグナルバッチで経時的に記録した。その記録により手の動作の三次元位置情報、速度、加速度、角加速度等を記録し縫合中の各動作に対応することできた。速度の分布や加速度の変化、左右の動作情報を評価し手術の科学的評価に用いることができることがわかったまた(4)ピンセットに応力ゲージを取り付け、血管縫合時にピンセットの把持に加えられる力の評価をおこなった。すると熟練術者ではリズミカルに把持力をコントロールできるが、初心者では圧が一様で、かつ左手にはきわめて強い力を加えていることがわかった。また左手の力のいれかたは教示により改善できることが判明した。
本研究によってRobotics技術や工学の技術を用い、手術手技そのものの改善とともに手術教育・評価の改善も可能であることが実証された。
【研究代表者】