時空間的脳神経活動パターンの翻訳手法の開発とそれを用いた脳神経系の帰納的研究
【研究分野】知能機械学・機械システム
【研究キーワード】
脳 / 神経 / ブレイン・コンピュータ・インターフェース / 聴覚 / ニューラルネットワーク / 微小電極アレイ / 聴皮質 / 時空間的情報表現 / 機能構造 / 神経反応 / 可塑性 / 局所電場電位 / ラット
【研究成果の概要】
本研究の目的は,第一に,大脳皮質の時空間的な神経活動に含まれる情報を翻訳する手法を開発することである.すなわち,多点計測した神経信号から,既知の情報を抽出できるシステム伝達関数の推定手法を提供する.第二に,このような神経活動の翻訳が,脳神経系をダイナミックなシステムとして捉える研究手法として有効であることを実証する.
時空間的な神経活動から神経情報処理機構を考察するために,ニューラルネットワークを用いた解析方法を提案した.同ネットワークでは,微小電極アレイを用いて多点同時計測した聴皮質の時空間的神経活動パターンを入力とし,それを誘発した音刺激の周波数の情報を教師情報として用いる.提案手法は,特定の中間層ニューロンの入出力関係を精査することで,神経情報処理機構を考察する.
リカレント型ニューラルネットワークは,フィードフォワード型ネットワークに比べて,汎化能力に長ける.この結果は,神経細胞群が,リカレント型ネットワークのように,過去の情報を記憶しながら,それに応じて活動パターンを時間的に変化させていることを示唆する.
学習したリカレント型ニューラルネットワークについて,各中間層ニューロンの情報処理の特徴と重みを調べたところ,特徴的な中間層ニューロンが現れた.これらの中間層ニューロンの入出力関係に注目したところ,周波数選択性は,すべての周波数帯域からの興奮性入力と低周波数帯域からの抑制性入力に依存していることが示唆された.このことは,従来の生理学的な知見を一致する.これらのことから,提案手法は,時空間的神経活動パターンから,情報処理機構の生理学的な特徴を抽出でき,解析手法として有望であると考える.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】30,030千円 (直接経費: 23,100千円、間接経費: 6,930千円)