石英ガラスを型材とする紫外線レーザによるガラスの微細ホットエンボス加工の研究
【研究分野】生産工学・加工学
【研究キーワード】
紫外線レーザ / 石英ガラス / エンボス加工 / マイクロ加工 / レーザ加工 / 加工モデル / ガラス型 / 局所加熱 / 熱伝播モデル / シミュレーション / 吸収剤
【研究成果の概要】
本研究は,型材料に石英ガラスを用い、成形材料を石英よりも低軟化点・低融点のガラスを対象とした微細ホットエンボス加工技術の開発を目的とする.線膨張係数の小さい石英ガラスを型材料に用いて熱膨張による誤差を低減し、レーザを利用して型を透過して直接成形材料の加熱を可能とする.
まず,ガラスの微細転写特性を調べるために,FIBを用いてGCに深さ200nmの溝形状を製作し,低融点ガラスの微細転写実験を行った.その結果,プレス温度として,ガラスの屈伏点よりもやや高い温度を採用すれば割れや融着の問題なく転写可能であることがわかった.なお,プレス圧力としては3MPa程度,プレス時間は30秒程度において,最も良好な転写結果が得られることがわかった.
次に,FIBを用いて石英ガラスに深さ300nmの溝形状を製作し,全体加熱による低融点ガラスの微細転写実験を行った.その結果,プレス温度を高く設定しすぎた場合にはガラスの融着が,プレス圧力を高くしすぎた場合にはガラスの割れがGC型の場合よりも起こりやすいことがわかった.しかしながら,プレス温度を屈伏点よりもやや高く,プレス圧力を2.8MPa程度に設定すれば割れや融着の問題なく転写可能であることが示された.
最後に,UVレーザ(波長355nm)による局所加熱による微細転写加工を行った.レーザの焦点を転写面から数mm程度ずらし,さらに,発振エネルギを15μJ程度に下げた場合に限り,ガラス面に転写が可能であることが示された.これにより,当初提案した加工方法が可能であることを実証できた.しかし,精度の良い溝形状は加工できなかった.これは,レーザのエネルギ密度分布が原因であることが推察された.今後,レーザ波長やエネルギ分布,型への吸収材の塗布などでこの問題の解決を図る.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】26,780千円 (直接経費: 20,600千円、間接経費: 6,180千円)