日本農業におけるオープンイノベーションの成立要件とは何か
【研究キーワード】
オープンイノベーション / 農業 / 新品種開発 / 再生可能エネルギー / 産学官連携 / 知的財産法 / 研究開発
【研究成果の概要】
前年度は日本農業の研究開発において中心的な位置を占めてきた、農産物の新品種開発について近年の法改正の動向とその影響についてのモデル分析を行った。
今年度は前年の研究成果に基づき、日本における農産物の新品種開発におけるオープンイノベーションの現状について複数の事例調査を行った。従来、日本における食用作物の新品種開発は公設試が中心となって、自組織内の技術や知識に基づくクローズド・イノベーションによって行われてきた。一方で近年、公設試をめぐる状況は大きく変化しており、オープン・イノベーションによる新品種開発の重要性が高まっている。今年度の研究では民間事業者が行う新品種の開発、公設試が有する知見の民間事業者への提供等を促進することを求める農業競争力強化支援法の制定に着目し、同法が食用作物の品種開発における公設試と他機関との連携に与えた影響を中心に分析を行った。分析の結果、農業競争力強化支援法が想定するような形での公設試と民間企業との連携は進んでいないこと、一方で食用作物の新品種開発において技術分野を補完する形での食品製造業者や農業協同組合との連携(=垂直方向の連携)や、農業機械メーカー等との連携(=水平方向の連携)の重要性が高まっていることを示した。
今年度はさらに、農業分野においても脱炭素化の流れが強まっていることを踏まえて、農業分野における再生可能エネルギーの導入における産学官連携の現状についての事例調査を行った。調査結果については現在取りまとめ中だが、農業分野における再生可能エネルギー導入においても、とくに電力を自家利用する際には外部機関との連携を行っている事例が複数あることが確認できた。この点については次年度以降、さらに調査を深めたい。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)