交流インピーダンス測定と境界要素逆解析を併用したコンクリート中の鉄筋腐食の検出
【研究分野】機械材料・材料力学
【研究キーワード】
交流インピーダンス法 / 境界要素法 / 逆解析 / ポテンシャルマッピング法 / 鉄筋腐食の検出 / 分極特性 / 複素インピーダンス / 非破壊検査 / 鉄筋コンクリート / 鉄筋腐食位置の同定 / ラプラス方程式 / 精度向上
【研究成果の概要】
コンクリート構造物中の鉄筋腐食の位置と腐食速度を非破壊的に推定するために,まず構造物表面のポテンシアル分布測定(ポテンシアルマッピング法)と境界要素逆解析により複数の腐食個所を効率的に検出し,つぎに検出された腐食個所の腐食速度を交流インピーダンス測定と境界要素逆解析を併用して検出するという2段構えの方法を開発した.以下にその概要を示す.
ポテンシアルマッピング法に対する境界要素順解析については以前に開発した腐食による静的電位場を基礎とする境界要素法順解析プログラムが利用出来るので,これを基礎にして逆解析プログラムを開発した.すなわち,網目状の鉄筋における腐食部を円で近似し(円の内部の鉄筋が腐食していると近似し),その円の半径rと中心の座標(x,y)を変数として(腐食部の数がnである場合変数の数は3×n),変数の値を仮定して境界要素順解析した結果とポテンシアルの測定値との差異の2乗和を目的関数として,この目的関数を最小にする変数をシンプレックス法により求めるプログラムを開発した.ただし,腐食部および健全部の鉄筋の分極特性は既知とした.数値例により,この方法の有効性を示した.
また,定常交番電位場解析を基礎とする交流インピーダンス法の境界要素順解析プログラムを開発した.この順解析プログラムを利用して,単一の鉄筋を持つコンクリート試験片に対して,交流インピーダンス法のデータを入力とし,腐食部の位置および腐食速度を出力とする境界要素逆解析プログラムを開発した.これらのプログラムの基礎となっているラプラス方程式がコンクリート中で成立することを,鉄筋を含まないコンクリート試験片を製作し,その両端に電極を置いて交流を流し,試験片表面の多くの点における電位を測定することにより,実験的に検証した.さらに,鉄筋の腐食部をむき出しの鉄短柱としたモデル実験を行い,上記の境界要素逆解析プログラムにより鉄短柱の位置とその表面の複素インピーダンス(これから腐食速度が求められる)を推定した.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
天谷 賢治 | 東京工業大学 | 大学院・情報理工学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1998 - 1999
【配分額】11,100千円 (直接経費: 11,100千円)