原子配列を考慮した固体力学の基礎方程式およびその分子動力学的検討
【研究分野】機械材料・材料力学
【研究キーワード】
固体力学 / 構成式 / 高次応力 / Cauchyの関係 / 原子配列 / 分子動力学 / 熱的はり理論 / 熱連続体力学
【研究成果の概要】
固体材料は微視的に見れば連続体ではなく,離散的な原子の集合である.応用に際してはこの離散的な構造を,ある平均化によって連続体としての極限化を図る必要がある.そのため,これまでに検討してきた原子の集合体モデルを用いてメゾ領域を想定し,熱連続体力学における極性物質として考察を行なった.
原子間に非線形ポテンシャルを仮定し,新たに導入したPテンソルならびにP級数を用いて原子配列を表現した.その際,巨視的連続体と微視的な原子の中間にメゾドメインなる領域を設定し,この領域内で原子の運動に関する新たな平均化操作を行ない,運動学的諸量を回帰分析によって連続量とし級数展開した.
メゾドメインを用いた理論的検討によれば,諸熱力学的ポテンシャル(Helmholtzの自由エネルギーなど)の表現も原子の運動により表現することが可能である.これらから応力あるいは熱流束に関する構成式を導出することができた.
一方,分子動力学法に基づき,独自に作成した計算スキームを用いてシミュレーションを行ない,その結果から弾性定数の値を算出した.これによれば原子の配列状態による高次応力あるいは熱流束の構成式における定数を求めることができる.これらの値と,上で求めた解析的な値との比較を行ない,一致する部分の多いことを確認した.
さらにこれらの結果に基づき,熱的な1次元の物体を考察した.はり理論に類似した概念として,熱的な極性物質の1次元化理論について考察した.これは熱的なはり理論とも称すべき概念である.理論的な考察と同時に,熱的なはり理論のモデルを作成し,シミュレーション計算によって断面定数の値を算定することができた.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2000 - 2001
【配分額】3,200千円 (直接経費: 3,200千円)