超臨界二酸化炭素中でのバイオプロセスの新展開:環境調和型デラセミ化反応の開発
【研究分野】環境関連化学
【研究キーワード】
酵素反応 / 環境技術 / 二酸化炭素 / 超臨界流体 / 不斉合成 / 超臨界二酸化炭素 / アルコール脱水素酵素 / 光学活性アルコール / グリーンケミストリー / デラセミ化 / 生体触媒 / Geotrichum candidum
【研究成果の概要】
デラセミ化反応は、ラセミ体の化合物を光学活性体へ変換する反応である。光学活性化合物は医薬品中間体として必要で、それらを環境に負荷をかけずに合成する方法は非常に重要であり、原子収率が100%であるデラセミ化反応の開発は急務である。そこで、本研究では、アルコール脱水素酵素によりデラセミ化反応を行う方法の開発を行った。溶媒としては、酵素反応では通常、水が用いられることが多い。しかし、水中での反応では、生成物の抽出が困難であったり、有機溶媒を使用したりすることが必要であるので、本研究では、超臨界二酸化炭素を溶媒として利用した。超臨界二酸化炭素は、抽出溶媒としては実用プロセスに用いられており、生体触媒反応のための溶媒としても、注目されている。本年度は、超臨界二酸化炭素中でのデラセミ化反応により、光学活性体の大量合成を行うために、超臨界二酸化炭素流通式装置の構築、酵素の大量発現、固定化、実用化に向けた検討を行った。その結果、超臨界二酸化炭素流通式装置を用いる生体触媒による物質変換に適した生体触媒の固定化法を見いだすことが出来た。また、超臨界二酸化炭素中での反応の実用化には、時間および体積あたりの収率が非常に重要である。そのためには、高活性な生体触媒が必要である。酵素を大量発現するためには、生化学的性質の解明する必要であるが、本研究で使用している酵素は、その単離精製が非常に困難である。そこで、本研究では、酵素を単離精製せずに、酵素の遺伝子を抽出し、酵素を大腸菌で大量発現させることを試みた。
以上の研究を行い、これらの結果により、超臨界二酸化炭素中でのデラセミ化反応の研究が進み、持続的社会の構築に貢献できた。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】3,800千円 (直接経費: 3,800千円)