ナノ構造内の電子遷移の新制御法と近赤外・中赤外域光変調機能デバイスの開発
【研究分野】電子デバイス・機器工学
【研究キーワード】
ナノ構造 / 量子ドット / 量子細線 / 量子井戸薄膜 / 量子準位 / 光学遷移 / 電子散乱 / 赤外光 / 量子(井戸) / エネルギー準位 / 中赤外光 / シュタルク効果 / 光イオン化 / 自己形成 / 単一ヘテロ構造 / 伝導特性 / メモリ素子 / 赤外検出器 / ボロメータ / 光学フォノン
【研究成果の概要】
10nm級の量子(井戸)薄膜・量子細線・量子ドットなど半導体ナノ構造において、その内部に形成される一連のエネルギー準位やサブバンドの関与する電子の光学遷移や散乱過程を制御する手法を探索するとともに、光変調デバイスへの応用可能性を探る研究を進め、以下に示す知見を得た。
まず、量子ドットに関しては、(1a)積層ドットに電界を加えた時の光吸収スペクトルの解析を進め、禁制遷移の寄与や吸収線の幅や高さを制御する可能性を示した。また、(1b)局所的歪みで誘起されるドット系において、蛍光スペクトルの形状がテラヘルツ電界の作用で大きく変調される現象の仕組みに考察を加え、隣接する薄膜内のキャリアがドットに流入することと、キャリアがドットへ接近して、ドット内のオージェ緩和を促進する機構が重要であることを指摘した。さらに、(1c)ドットをFETの伝導路の近くに配した構造での電子散乱過程を計測・解析し、ドット自身の引力的ポテンシャルの作用は、捕縛電荷による斥力ポテンシャルの作用によってある程度は減殺されるものの、支配的役割を果たすことなどを見出した。
量子細線に関しては、(2a)微傾斜基盤上に形成したステップ形の細線構造において異方的な電子散乱と光学特性の異方性の特色を明らかにした。また、(2b)メサ構造の稜線を用いたリッジ細線について、光学スペクトルの偏波依存性を調べ、細線構造のわずかな非対称性が大きな影響を及ぼすことなどを示した。
また、量子井戸薄膜のサブバンド吸収スペクトルに関しては、(3a)昨年度に検討した電子数依存性に関する知見を深めるとともに、(3b)量子井戸の界面凹凸が吸収線幅に及ぼす効果を詳細に調べ、移動度の測定解析から得られた知見と補完的な知見の得られることを示した。
なお、ゲート電界の作用でドット内の電子数を増減させ、この時生じるバンド間光学特性の変調効果については、理論解析を進めたが、実験的検証は今後の課題に留まった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
野田 武司 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
高橋 琢二 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1999 - 2001
【配分額】12,600千円 (直接経費: 12,600千円)