スピントロニクス素子における量子輸送理論の構築と新奇デバイスの提案
【研究キーワード】
スピントロニクス / ゆらぎの定理 / マグノン / 量子ドット / カーボンナノチューブ / 磁気抵抗 / オンサーガー関係式 / マグノン輸送 / スピンポンピング / 磁気トンネル接合 / 反強磁性体
【研究成果の概要】
前年度に引き続き、スピントロニクス分野の物理現象に対して、微視的な模型に基づく理論研究を展開し、(1) スピン軌道相互作用のある二次元電子系と強磁性絶縁体の接合におけるスピン共鳴の理論、(2) 近藤状態にある磁性不純物を介したスピンポンピングの理論、(3) スピンホール磁気抵抗現象におけるゆらぎの定理、について論文を出版した。これらの研究によって、磁性体と金属の界面におけるスピン流の微視的機構や新規物理現象の提案を行うことができた。今後の実験検証を強く期待したい。
さらにスピントロニクスとメゾスコピック系の境界領域の問題として、(4) スピン回転結合を利用したナノモーターの理論提案、(5) 量子ドット中の多電子スピン状態におけるスピン緩和時間の理論解析(実験との共同研究)、(6) 量子ラビ系を介した熱輸送の理論構築、などを行なった。特に(4), (5)の成果についてはPhys. Rev. Lett.誌で出版されており、プレスリリースも行っている。
高強度光パルスによる新しいスピントロニクス制御方法への道を探るための準備として、(7) GaAsにおける高次高調波におけるずり応力効果の解析、(8) GaAsにおける非摂動領域の高次高調波の理論の構築を行なった。これらの光との相互作用については、今後スピン流生成の新しい手法として用いることができると期待しており、現在研究を推し進めている。
この他に次の欄で記述するように、研究成果を5編のプレプリントとしてまとめることができている。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)