新奇ウラン系重い電子系超伝導におけるメタ磁性と超伝導転移
【研究キーワード】
メタ磁性転移 / UTe2 / 超伝導 / 強磁場 / メタ磁性
【研究成果の概要】
本研究では、スピン3重項超伝導におけるメタ磁性転移と超伝導の関連性を明らかにすることを目標としている。本年度はUTe2に着目し、パルス磁石を用いて(1)電子比熱係数の磁場・磁場角度依存性、(2)メタ磁性転移における異方的な磁歪を明らかにした。(1)パルス磁場中で磁化と磁気熱量効果(MCE)の同時測定を行い、磁化の温度・磁場依存性、正確な磁気相図を決定し、熱力学の関係式を用いて、電子比熱係数の磁場依存性を求めた。磁場b軸方向では、メタ磁性転移で電子比熱係数が不連続に減少、c軸に約28度傾けた磁場方向では、b軸とは逆に不連続に増大することを明らかにした。この結果は、b軸方向の磁場ではメタ磁性転移によって超伝導相が抑制されるが、b軸からc軸に30度ほど傾けると、メタ磁性転移に伴い超伝導相が再出現することと関連していることが分かった。なお、キャパシタンス温度計の開発、上記の研究は強磁場フォーラムフロンティア奨励賞受賞、複数の招待講演など、高く評価されている。この手法開発により、今まで困難であった磁場掃引時の試料温度変化が評価できるようになり、より定量的な温度依存性の議論を可能にした重要な技術発展である。(2)物性研で開発されたFBG(Fiber Bragg grating)光ファイバーと光フィルターを用いた磁歪測定法により、b軸磁場方向での各結晶軸方向の線磁歪測定を行った。メタ磁性転移に伴う、異方的な線磁歪、負の体積磁歪を明らかにした。現在、この結果を論文としてまとめるとともに、超伝導相がメタ磁性転移によって誘起される磁場方向での磁歪測定を進めている。また、温度の同時測定にも取り組んでおり、熱力学的にメタ磁性転移の起源、超伝導との関連性を明らかにしていく。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
青木 大 | 東北大学 | 金属材料研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)