シアン配糖体計測用全固体型センサーの開発
【研究分野】工業物理化学
【研究キーワード】
化学センサ / オプティカルセンサ / バイオセンサ / 活性阻害 / シアン配糖体 / チロシナーゼ / メラニン / 電気化学 / 酵素電極
【研究成果の概要】
本研究では、キャッサバ、ウメ、アンズ、タケノコなどの食用植物中に含まれ、急性・慢性食中毒の原因となっているシアン配糖体に対する、高感度・高選択性・安価かつ簡便な全固体型センサーの開発・評価を目的とした。本年度は、β-グルコシダーゼの作用によってシアン配糖体から遊離させたシアン化物イオンが、酵素チロシナーゼの活性を阻害する作用に基づいて、シアン配糖体オプティカルセンサーを開発した。チロシナーゼの活性は、L-チロシンを溶存酸素により酸化してドーパクローム(赤色)およびメラニン(暗褐色)を生成する反応に基づいて分光的に評価した。まず、チロシナーゼを用いてシアン化ナトリウムの定量が可能であることがわかり、次いで、β-グルコシダーゼのエムルシン(アミグダリンに特異的)やリナマラーゼ(リナマリンに特異的)を併用することにより、シアン配糖体であるアミグダリンやリナマリンを感度よくセンシングできることがわかった。このときの酵素濃度と応答速度・ダイナミックレンジ等との相関についても調べた。また、シアン配糖体用の試験プレートも開発した。白色のポリエチレンプレート上にβ-グルコシダーゼ、チロシナーゼ、L-チロシン、ポリ(エチレンオキシド)を含む膜をアルゴン雰囲気下で形成し、この膜にシアン配糖体を含む試料溶液を滴下することにより、シアン配糖体を選択的に検出できることがわかった。キャッサバ抽出液に含まれるリナマリンを定量することも可能であった。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】2,700千円 (直接経費: 2,700千円)