電気制御可能なインテリジェントバイオリアクターの開発
【研究分野】工業物理化学・複合材料
【研究キーワード】
電気制御培養 / インテリジェントバイオリアクター / モノクローナル抗体 / CEA / タンパク質生産 / MKN45 / ハイブリドーマ / カーボン繊維 / スポンジ状カーボン / 生体触媒 / 酵素活性の電気制御 / 電気制御発酵 / 導電性高分子 / アルコ-ル脱水素酵素 / 酵母
【研究成果の概要】
本研究は、研究代表者らの創案による生体触媒活性の電気制御法を利用した「電気制御可能なインテリジェントバイオリアクター」を開発することを目的として行われた。
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は浮遊培養に適しているため、ハイブリドーマ細胞の連続フロー型バイオリアクターを構築することは非常に困難である。本研究ではハイブリドーマ細胞を、導電性のカーボンメッシュ担体に細胞活性を保持した状態で固定化することに成功し、固定化細胞に直接電気印加を行うことを可能とした。さらに固定化ハイブリドーマ細胞を組み込んだフロー型リアクターを設計・試作し、浮遊細胞についても連続フロー方式の培養が可能であり、しかも細胞増殖および抗体産生を電気制御できることを明らかにした。また、このリアクターを用いてハイブリドーマ細胞にパルス電位を印加して電気制御培養を行うと、抗体産生能を向上できることが明らかとなり、その最適条件を見い出すことができた。
上記リアクターを(a)バッチ、(b)フロー、(c)バッチフロー、(d)培地供給型フローの以上4方式で電気制御培養を行い、それぞれのリアクターにおける細胞の増殖と抗体産生能を評価した。その結果すべての系で電気効果による抗体産生能を向上できるが、培地供給型フロー方式における抗体産生能の向上がもっとも顕著であった。
次いで、付着性細胞についてもフロー型バイオリアクターを適用し、電気制御培養によるタンパク質産生を行った。付着性細胞としてヒトガン由来の株化細胞MKN45を選択し、ガン胎児性抗原(CEA)の産生挙動を検討し電気効果によるCEA産生量の向上が起こることを見出した。また、タンパク質合成の阻害実験の結果から、この系に於ける電気効果がタンパク質分泌輸送の促進に寄与していることを示唆するに至った。
以上の結果から明らかなように、細胞機能を電気制御できるインテリジェントバイオリアクターを構築し、その基本特性を解明することができた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
森岡 聡 | 三菱化成(株) | 総研プロセス開発室 | 部長研究員 |
小畠 英理 | 東京工業大学 | 生命理工学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
碇山 義人 | 東京工業大学 | 生命理工学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
森岡 聰 | 三菱化成(株)総合研究所 | 部長研究員 |
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【研究種目】試験研究(B)
【研究期間】1991 - 1993
【配分額】13,400千円 (直接経費: 13,400千円)