アキラル構造からなる光角運動量ソーターの多空間同時光計測による研究
【研究キーワード】
透過電子顕微鏡 / カソードルミネセンス / ナノフォトニクス / 円偏光
【研究成果の概要】
光の角運動量選択は量子通信・暗号化に不可欠な要素である。これまで角運動量選択には、対掌性をもつキラル構造が提案されてきたが左右回転パリティへの応答が同等でなく、定量性・堅牢性に欠けていた。本研究は、①アキラルな構造を用いた光アンテナ・導波路を用いて、両パリティに同等に応答する角運動量ソーターを実現し、更に、②この計測のために、光のエネルギー・励起位置・発光位置・発光角度の全情報を同時に得られる多空間同時計測カソードルミネセンスを開発するものである。
2021年度は、①の角運動量ソータの一例である、バレー・プラズモニック結晶をベースとした、トポロジカルに保護されたプラズモニック導波路を設計・作製し、②で開発した4次元カソードルミネセンス装置を用いてその導波を可視化することで、その機能を実証した。理論計算と実験結果をあわせることで、この導波がバレー結晶を張り合わせたエッジで、トポロジカルに保護されていることを確認した。
また、①の新たな構造として、誘電体の鎖構造を提案した。大きさの異なる誘電体球をジグザグに配置することで誘電体球内部で電場が回転する光スピン伝搬モードが方向性をもって伝搬する構造を見出し、数値計算により動作することが確認できている。この構造は、2次元結晶系と異なり、滑らかなカーブをもった導波路など幾何学的な自由度が高い。
②の装置開発に関しては、4次元計測系がおおよそ確立され、ハードウェア整備が整った。解析ソフトウェアも通常使用できる状態にまで完成した。引き続き改良をすすめているところではあるが、応用計測が可能な段階に到達している。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
藤井 稔 | 神戸大学 | 工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
斉藤 光 | 九州大学 | 先導物質化学研究所 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
秋葉 圭一郎 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 | 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部 | 主任研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)