光を高度に操った炭化ケイ素半導体中スピン欠陥の量子状態制御
【研究キーワード】
結晶工学 / スピン欠陥 / 光物性 / 量子センシング
【研究成果の概要】
炭化ケイ素(SiC)中のシリコン空孔(Vsi)に着目し、陽子線描画技術を用いて任意位置・深さにVsiを形成し、光検出磁気共鳴(ODMR)を用いた温度計測及び磁場計測を行った。特に、2021年度はSiC/Si貼り合わせ構造を有する試料に陽子線描画によりVsiを導入した。室温での共焦点蛍光顕微鏡観察によりSiC中の任意位置にVsiが形成されていることを確認した。加えて、リアクティブエッチングなどを利用してSiC基板を局所加工(ライン形状)することで光導波路の形成を試みた。SiC/Si貼り合わせ基板の作製の最適化に向けた研究では、貼り合わせ前に基板表面に酸化膜を形成すること、貼り合わせ時に行う熱処理温度を検討することで、歩留まりの向上を達成した。
ODMRの高感度化に関しては、基底状態と励起状態でODMRを発生させる高周波を同時に印加することで、本来は温度依存性を持たない基底状態のODMRが温度依存性を有することを発見し、この手法を用いることで従来の励起状態のODMR測定を用いる場合よりも高いコントラストのODMRシグナルが得られること、即ち、温度感度が向上することを見出した。
【研究代表者】
大島 武 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所 量子機能創製研究センター センター長
(Kakenデータベース) 【研究分担者】 |
黒木 伸一郎 | 広島大学 | ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
波多野 睦子 | 東京工業大学 | 工学院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】45,760千円 (直接経費: 35,200千円、間接経費: 10,560千円)