ミクロン空間内の気体流れが誘起する構造変形を原理とした新規質量分析法の開発
【研究キーワード】
粘性係数 / マイクロ流路 / 流体力学 / 構造力学 / 流体―構造相互作用 / 気体 / 液体 / 流体 / 質量分析 / マイクロフルイディクス / 機械学習
【研究成果の概要】
本研究は、申請者独自の分子量測定法(大気環境、リアルタイム、非破壊)を、国際共同研究を推進するProf. Weitzとともに発展させ、モバイル用途まで見据えたイオン化不要の新奇質量分析法の創出を目指すものである。従来の質量分析は、試料をイオン化・断片化し、それらを逐次測定することで、試料の構造に由来する情報(マススペクトル)を得るという非常に優れた定性・定量手法である。しかし、試料のイオン化のためには真空環境が必須となるため、原理的に装置の小型化、とりわけコンシューマー用途まで視野に入れたモバイル化には、ブレークスルーが必要であった。一方、申請者が開発した分子量測定法(流体熱力学質量分析、AMA)は、大気環境下で実施可能であるため、従来法が抱える原理的な制約に縛られない様々な可能性を有している。目下の課題は、分子量の決定だけでは、分子量が同じ試料(例えば構造異性体)に対しては適用できないという点にある。この課題を解決すべく、申請者は分子量とは独立した試料に固有のパラメータを選定し、それを分子量と同時に決定することで、構造異性体などまで含めたあらゆる試料に対応可能なアプローチを着想した。そのようなパラメータとして、試料の「粘度」に着目し、その定量に向けた検討を行った。その結果、Prof. Weitzが主な研究対象としているマイクロ流体関連技術を用いることで、粘度の定量手法の確立に成功した。この成果は特許申請済みであり、Lab on a Chip誌に論文掲載決定後、学会発表およびプレスリリースも行った。既に新聞複数紙に記事として取りあげられ、専門誌から依頼を受けて解説記事の執筆も行った。本手法は気体のみならず、数桁以上粘度の異なる液体にまで適用可能であることを確認しており、当初期待していた範囲を超えて様々な展開が見込まれる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
田村 亮 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 | 主任研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
【研究期間】2019-10-07 - 2023-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)