光制御・検出による局所分子配向緩和スペクトロスコピー
【研究分野】応用物理学一般
【研究キーワード】
分子配向 / 液晶 / 液晶等方相 / 配向緩和現象 / 光カー効果 / 光分子制御 / 臨界現象 / 配向緩和 / スペクトロスコピー / 複屈折 / 相転移
【研究成果の概要】
近年、新しい機能性材料として注目を集めている液晶やゲル、生体系などいわゆる複雑流体は、その分子自体あるいは分子集合体が配向やコンフォメーション等の大きな内部自由度を有している点に特徴がある。これらの中でも、その影響がより強く端的にマクロなスケールの物性変化として現れるのは分子配向である。本研究は光を用いて分子の配向を人為的に制御し、その応答特性から分子配尚のメカニズムを調べる光制御局所分子配向緩和スペクトスコピー装置を開発すること、さらにこれを用いて液晶相が出現するメカニズムを分子レベルで研究することを目的とする。
本研究ではまず光によって分子の配向秩序を制御し,その感受率の大きさから分子配向のしやすさを測定する装置の開発を行った。光による電場が分子に印加されると、分子の形状に対応する分子分極率の異方性のため分子は電場方向に向きをそろえようとする。これを別のプローブレーザーによって複屈折として測定する。これにより液晶転移近傍で分子の配向感受率が臨界的に増大することを見出した。
さらに装置をさらに改良し、分子が回転するダイナミクスの観測を可能にした。光の偏光方向を電気光学変調器を用いて制御することにより、分子配向を高速でスイッチングすることができる。変調周波数を掃引しながら応答の複素スペクトルを観察することにより、分子の配向緩和現象を精密に調べることができる。新たに開発された装置を用いて、液晶性試料である6CBについて配向緩和スペクトルを周波数軸上で観察することに成功した。連続発振レーザーによる光誘起配向緩和の測定は、高次の非線形の影響を受けず、また様々な緩和メカニズムの分離が容易であるなどの利点を数多く持つ。また周波数軸上での非線形効果の緩和測定は世界でも初の試みである。さらに現在、誘起レーザー光の重ねあわせによる干渉構造を利用して、高次の配向格子を生成する研究を進めている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
高木 堅志郎 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
坂本 直人 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】13,000千円 (直接経費: 13,000千円)