分子振動励起・回転誘起の素過程を探る結合モード光散乱スペクトロスコピーの構築
【研究分野】応用物理学一般
【研究キーワード】
分子緩和現象 / フォノンスペクトロスコピー / 高分解能光散乱 / 液晶相転移 / 並進・回転結合 / 光カー効果 / マウンテン成分 / ミセル系 / フォノンスペクトロスコピ / 分子配向 / 光散乱 / 流動服屈折 / 超音波誘起複屈折 / 液晶 / ミセル / フォノンスペクトルコピー / 高分解能光散乱法
【研究成果の概要】
本研究の目標は、新開発の光ビート分光振動緩和スペクトロスコピーと相関光誘起カー効果スペクトロスコピーとを柱とする独創的解析スキームを確立して、振動・回転励起の分子ダイナミクスを可視化し、解明する新しい研究分野を構築することであった。
最初の研究成果として、我々は流動場-配向結合緩和スペクトロスコピー法の開発に成功した。実験に用いた装置は自らが独自に開発・改良を行ったもので、従来は測定困難だった条件下においても分子配向ダイナミクスを観察できるという特徴がある。これらを用いて、配向に関する非線形光学効果の増大現象、広帯域領域におけるずり流れ・分子配向結合現象に関する研究を行った。
つぎに我々は、光ビート分光ブリュアン散乱法による分子緩和現象の直接観察を試みた。液体中の自発的な密度揺らぎによる散乱光のスペクトル分布関数は、流体力学的な運動方程式に熱揺動項を加えて得られる動的構造因子によって記述される。本研究では、光ビート分光法を用いることにより、今まで測定が困難であったkHz〜MHzという低周波数域の光散乱スペクトルを精密に測定することで、スペクトルの微妙な形状変化なども含む動的構造因子そのものを直接観察するという新しいブリュアン散乱法を確立した。
これらの成果を受けて、我々はさらに異方形状分子液体における特異な配向緩和現象の観察と、自由度間結合係数の直接観察を行った。配向揺らぎを直接観察する高分解能光散乱法、および表面波複屈折法という二種類の実験手法による結果を組み合わせ、分子配向と並進運動およびそれらの結合を支配する三つの輸送係数の値をすべて求めることに成功した。三つの粘性係数それぞれの温度に対する依存性から、臨界的な振る舞いを有するのは結合粘性であることを明らかにし、その臨界指数を求めることができた。
【研究代表者】