X線誘起トンネル電流による走査トンネル顕微鏡での元素分析(元素分析STMの開発)
【研究分野】応用物理学一般
【研究キーワード】
走査トンネル顕微鏡 / X線照射 / 元素分析 / 走査トンネル / 超小型走査トンネル顕微鏡 / X線発生装置 / シンクロトロン放射光
【研究成果の概要】
超高真空STM装置を開発し、高エネルギー加速器研究機構(つくば)に持ち込み、実験を行った。試料チャンバーはX-Y-Zチャンバーに設置した。X線ビームは1mm*0.04mm程度である。まず、このビームに対してチャンバー内の試料を最適な場所に調整する作業を行った。これまでの予備実験でX線が試料-STM探針にあたっていると探針電流が増加する。そこで、この電流値をモニターしながら試料位置の最適化を行った。その後、試料チャンバー内をロータリーポンプ、ターボ分子ポンプで真空にた。ある程度の真空に達した後、バルブを閉め、ターボ分子ポンプを止めて切り離した。これ以降は小型のイオンポンプで高真空を維持した。
試料にはSiウエハー上に作成したPtやNi薄膜上にAu膜を蒸着した。この際、微粒子サブミクロン径の微粒子をマスクとして用いることにより、サブミクロン程度の孔を有するAu薄膜を作成した。これにより面内分解の確認を行うことを計画した。試料の近傍はCCDカメラで外部から認識できる。
X線照射によりSTM探針電流が観測されるが、高真空下ではこの電流値は大気圧下のものに比べ小さく観察される。放射光を用いた場合でも予想以上に小さく、数pAであった。これは実験を行ったビームラインの特性などにもよると考えられる。X線を照射しない場合と、照射しながら測定したSTM像を比較したところ、条件によっては多少違いが確認された。この際のトンネル電流値は0.5nAであり、X線誘起の電流の寄与に比較してかなり大きい条件であった。このため、明確な違いを得ることは困難であったと思われる。今回の放射光実験では、様々な改良すべき点が明らかとなった。この研究については今後とも継続していく予定である。
【研究代表者】