核共鳴放射光励起による内部転換電子放射の計数相関解析と表面単原子層研究への応用
【研究分野】表面界面物性
【研究キーワード】
核共鳴励起 / 内部転換電子 / 時間分解分光 / 放射光 / 表面 / 光電子放出 / Fe / 相関解析 / 内部転換 / 電子分光 / 核共鳴放射光励起 / 内部転換電子放射 / 時間分解電子分光 / 表面磁性 / 超微細構造 / 鉄同位体核 / 回転楕円ミラー型電子分光器 / 荷電粒子直射ストリークカメラ
【研究成果の概要】
核共鳴X線散乱に随伴する内部転換電子放射の測定とその表面物理研究への応用を目標として、時間分解電子分光器の開発と機能の評価を行った。開発を進めてきた角度積分型の回転楕円ミラー分光器と角度分解型静電偏向エネルギー分析器の双方について測定実験を行った。回転楕円ミラー型分光器については、60'以上の取り込み立体角を有することを確認した他、非軸上点から放射された光電子の結像収差を明らかにした。他方、角度分解型の半球型静電偏向器についてもエネルギー分解能の測定を行い、入射電子のエネルギーを200eVに減速後、20meVのエネルギー分解能が得られることを明らかにした。時間分解測定のための検出器としては、昨年度まで進めてきた荷電粒子直射型ストリークカメラに加えて、低雑音電子検出器として実用化を進めているアバランシェ光ダイオード(APD)検出器について検討した。APD検出器の感度とエネルギー分解能についての測定を行い、2〜10keVの範囲では、マイクロチャンネルフレートに比較して、2桁程度のS/N比の向上を確認した。開発された装置を用いた内部転換電子の測定を^<57>Fe,^<83>Kr,^<73>Geを試料として試みた。高エネルギー物理学研究所AR利用放射光施設において、Fe_2BO_3について行った核共鳴放射光励起による内殻電子放射の測定では、放射光照射の際の瞬発光電子に続いて、100ns弱の減衰定数で減衰する遅発光電子放射を観測した。この遅発光電子放射に含まれる内部転換電子の寄与とそれ以外の成分の分離と放射機構の解明を現在、進めている。
【研究代表者】