可変繰り返し短波紫外 サブピコ秒光源によるナノ構造青色蛍光体の時間分解蛍光評価
【研究分野】応用物性・結晶工学
【研究キーワード】
ナノ構造 / 紫外サブピコ秒レーザー / ゾルゲルガラス / 青色蛍光体 / 超高速分光 / 紫外サブピコ秒パルス
【研究成果の概要】
次世代のパワーエレクトロニクス材料として期待されているシリコンカーバイド(SiC)の基礎物性やゾルゲルガラスに担持された遷移金属/希土類イオンからのナノ構造発光、GaAsNの発光メカニズムなどナノ構造青色蛍光体の時間分解特性評価のための波長300nm程度の紫外域サブピコ秒パルス光源の開発をおこなった。色素レーザーキャビティに既存のキャビティダンパーを組み込んでパルス尖頭値を10倍以上高め、非線型結晶(BBO)を用いて可視域色素レーザーの2倍高調波を発生させ、mW程度の高出力を得た。またキャピティダンパーを組み込んだことによって繰り返し周波数が可変になり、ピコ秒からミリ秒と広い時間範囲での高感度測定が原理的に可能になった。
1.希土類イオンを含む錯体および酸化物化合物のf-d遷移に基づく発光の時間分解分光:これまでセラミックス中の2次元閉じこめ系に注目した例はほとんどないので、有機金属化学合成方法でセラミックスおよびガラスにZnCdS : Mnナノ結晶を分散させることにより、クラスターを均一に生成させた試料を作成した。CdSは薄膜中に6nmのサイズで分散していて、Mn-Mnイオン対が生成していることが推測される。サイト選択分光により、表面発光あるいはダングリングボンドの形成による10ナノ秒程度の超高速発光寿命を得た。
2.シリコンカーバイド(SiC)の基礎物性について:時間分解分光測定をおこなった。SiCの3つのポリタイプについてラマンスペクトルの測定により、紫外の共鳴領域において結晶の積層構造に起因する縦波折り返しフォノンモードが折り返されていないモードに対して選択的に数十倍も増大する現象を見いだした。
この結果をポンドラマン分極率モデルのボンドラマン分極率に波長依存性を仮定して解析し、結合偏光モデルで説明した。これらの結果から、電子-格子相互作用のポリタイプ依存性について考察を行っている。
3.立方晶GaN、GaAsN混晶等の時間分解フォトルミネッセンス:MOVPE成長した立方晶GaNやGaAsにMOCVD法で窒素ドープした蛍光体を300nm帯のサブピコ秒パルス励起した場合、窒素ドープ量と発光の長波長側で徐々に長寿命化することを見いだした。また試料作成評価のために、結晶の均一化を顕微フォトルミネッセンス測定や一連のソリッドイマージョンレンズ(SIL)を用いた回折限界を超える空間分解能を持つSIL測定によってサブミクロンオーダーの精度で調べている。低温から室温近くまで温度変化させたとき、50K付近で発光スペクトルのシフトや発光強度が大きく変化することを新たに見いだした。
【研究代表者】