テラヘルツ電磁波を用た非接触ホール測定技術の開発
【研究分野】応用物性・結晶工学
【研究キーワード】
テラヘルツ分光 / ホール測定 / 半導体 / 移動度 / 磁気光学効果 / 磁気カー回転 / カー回転
【研究成果の概要】
超高速エレクトロニクスの基盤となる新規材料の伝導特性を広い周波数範囲で決定することは材料系の潜在能力を評価する上で必須である。特に、周波数100GHz以上の高周波領域での特性評価は、次世代超高速エレクトロニクス素子、光エレクトロニクス素子を開拓するうえで極めて重要である。この観点のもとに本研究では、フェムト秒レーザーにより発生されるテラヘルツ電磁波パルスを用いた高精度、高感度な偏光分光法を開発し、これと磁気光学効果を組み合わせて、テラヘルツ周波数領域での非接触ホール測定技術を開拓することを目的とした。本研究の成果は以下のとおりである。
・振幅と位相の直接測定であるテラヘルツ時間領域分光法の特徴を利用することで、偏光分光法の検出精度として、回転角にしてサブミリラジアンに達することに成功した。当初目標値は1ミリラジアンであり、所定の目標を上回る成果を得ることができた。
・磁気光学スペクトルから、誘電関数、ホール伝導度を導くアルゴリズムの開発を行った。
・反射測定の際の参照試料の位置決め誤差による位相変化を、最大エントロピー法を用いて数値的に補正するアルゴリズムの開発を進めた。
極微弱信号領域の測定では観測量(偏光回転スペクトル)の定量性を確認することが重要である。このために、半導体InAs基板を試料に用いて、微弱信号領域での偏光回転スペクトルの定量性の確認を行った。その結果、電子濃度、移動度から導かれるホール伝導度、これらから予想される偏光回転スペクトルと定量的にも一致が得られた。InAsでは、磁気プラズマ共鳴効果によって、10ガウスの微弱磁場下でのホール効果を非接触で観測することが可能になった。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)