走査型トンネル顕微鏡と超高真空走査型電子顕微鏡の同時測定の開発と応用
【研究分野】応用物性
【研究キーワード】
走査型トンネル顕微鏡 / SEMとSTMの複合機 / エピタキシャル成長 / SEMとSTMの複合装置 / 表面再配列構造の観察
【研究成果の概要】
本研究は走査型電子顕微鏡(SEM)と走査型トンネル顕微鏡(STM)との複合化により、最終的には走査型LEED顕微鏡(超高真空)とSTMとを一体化し、数100μmから数〓の視野まで、連続的な操作で像が観察できるようにすることを目的とした。研究は2つの段階に分れ、第1段階は10^<-6>Torrの真空下で、SEMとSTMの複合化を行った。この段階の装置は極めて順調に進展し、いくつかの応用研究で成果をあげた。第2段階では超高真空下で操作できるSTMを開発し、この本体の性能は原子の空間分解能を10^<-10>Torrの真空下でえられることが確認された。この装置は現在走査型LEED顕微鏡(真空:10^<-10>Torr)と一体化し、試料やチップの真空外からの交換、SEMとSTMの試料位置の整合(位置決め)、吸着や蒸着又は試料温度を変化しながら、STMでその場観察できるよう改良を加えている。このような装置を開発していく間に応用研究や画像處理技術の進展もみられた。
(1)応用研究
MoS_2表面の結晶構造解析がSTMによって原子の分解能で行われた。これらの観察からMoS_2表面にはまれに積層欠陥による転位があり、またステップの両側では原子配列がa/3(aは格子定数)だけずれることを見出し、S-Mo-Sのサンドウィッチ層の厚さを軍位とするステップであることが確認された。MoS_2表面上のAuの成長は完全に島状成長であり、島と下地との間の接着力は、STMのチップと島との静電力で移動させることができ、その接着力は結晶画面に働くそれに比べ、10^<-6>程度小さいことを明にした。
(2)画像處理
STM像のフーリエ変換によって回折図形をつくり、走査型LEED顕微鏡でえられた微小領域の回折図形と比較検討できる。従って、STMと走査型LEED顕微鏡との複合化は有意義である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
弧田 孜 | 日立製作所 | 中央研究所調査部 | 主管 |
大槻 義彦 | 早稲田大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
大泊 巌 (大泊 巖) | 早稲田大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
KOMODA Tsutomu | Central Research Laboratory, Hitachi Ltd. |
菰田 孜 | 日立製作所 | 中央研究所調査部 | 主管 |
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【研究種目】試験研究
【研究期間】1986 - 1988
【配分額】20,500千円 (直接経費: 20,500千円)