化学ビーム法によるカルコパイライト型半導体のエピタキシャル成長
【研究分野】応用物性・結晶工学
【研究キーワード】
カルコパイライト / ワイドギャップ半導体 / 化学ビーム成長法 / CBE / エピタキシャル成長 / その場観察
【研究成果の概要】
本研究では、短波長域の発光材料および非線形光学材料として優れた特性を有しているカルコパイライト型化合物、特にAgGaS_2およびAgGaSe_2に注目し、デバイス応用を目指して、それらのIII-V族半導体基板上へのエピタキシャル成長について検討したもので、得られた成果の概要は以下の通りである。
1.金属Ag、トリエチルガリウム、硫化水素を原料とする化学ビーム(CBE)法により初めてGaAs基板結晶上にc軸に配向したAgGaS_2のエピタキシャル成長層を得ることに成功した。
2.反射高速電子線回折(RHEED)によるAgGaS_2の成長のその場観察により、成長の初期過程および格子緩和過程を明らかにした。
3.最適な基板温度、三原料のビーム比について検討し、AgGaS_2が形成できる温度が、600℃から630℃の極めて狭い領域であること、陽イオンビームに対して高い硫黄ビーム比が不可欠であるが、過剰に供給すると成長速度と結晶性の低下を招くことを示した。
4.成長条件と低温のフォトルミネッセンスの関係を検討した結果、Ga/Agビーム強度比が最適でない場合、深い準位に関連したブロードな発光が支配的であるが、最適な成長条件では、2.69eVにピークを有する半値幅の狭いバンド端発光が支配的となることを示した。
5.単体のAg,Ga,Seを原料とするAgGaSe_2の成長を試み、GaAs基板上に成長温度300℃から450℃において、a軸配向したAgGaSe_2を得た。
【研究代表者】
【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1993 - 1994
【配分額】7,300千円 (直接経費: 7,300千円)