原子尺度制御を目指した結晶成長制御用走査型トンネル顕微鏡の試作研究
【研究分野】応用物性
【研究キーワード】
原子尺度 / 結晶成長 / 走査型トンネル顕微鏡 / Si / Geヘテロ構造 / エピタキシャル / 表面構造 / 微視的機構 / 島形成 / エピタキシャル成長 / 5×5構造 / 選択的吸着 / 超高真空 / モリブデンブル-ブロンズ / Si(111)、Si(100) / アンチモン(Sb) / 原子層ド-ピング / 半導体清浄表面 / 高速トンネル分光 / 慣性式移動方式
【研究成果の概要】
本研究の主眼は、結晶成長装置に装着可能な走査型トンネル顕微鏡(STM)を開発し、従来の方法では評価できなかった結晶成長にともなう表面原子の動き、表面構造の変化など原子尺度の知見を直接得ようとするところにある。まず、初年度において結晶成長装置に装着可能なSTMを考案し、そのために必要な新しい電子式粗動機構を開発した。一方、従来から利用されてきた機械式方式についても検討を加え、両者ともに小型化、結晶成長装置へのボルトオン装着が可能なことを示した。
また次年度では、試料の簡易移動方式を新たに開発するとともに、結晶成長にともなう温度ドリフトへの対策について検討した。その結果、律速された相の観察には必ずしも低温への急速冷却は必要なく、室温の試料移動機構を接触することによる冷却でも十分に有効であることが判った。
最終年度には、走査型トンネル顕微鏡によるSi系結晶成長観察を試みた。Si/Ge超格子のエピタキシャル成長の成長初期過程を表面構造の変化から捉え、Si/Geヘテロ構造の界面ゆらぎの原因を調べた。その結果、(111)面のGe成長では、局所的歪を緩和するためにテラス上での島形成がおこり、5×5と7×7の混在する再構成を示すことが判った。さらに、ステップ構造への選択吸着を発見し、この効果を利用して量子細線構造を作製する方法についても検討を加えた。
本研究で開発したSTMは超高真空下で原子像を観察できる能力を有し、かつ試料移動機構を備えていることから、実用化への重要な基礎になると考えられる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
片山 良史 | 光技術研究開発株式会社 | つくば研究所 | 研究開発部長 |
深津 晋 | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 助手 | (Kakenデータベース) |
魚住 清彦 | 青山学院大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】試験研究
【研究期間】1989 - 1991
【配分額】11,200千円 (直接経費: 11,200千円)