室温純粋円偏光スピン発光ダイオードの作製方法ならびに動作原理の確立
【研究キーワード】
スピンフォトニクス / スピントロニクス / 円偏光発光ダイオード / 偏光 / 医療光学 / がん検診 / 光スピントロニクス / スピン発光ダイオード / 円偏光 / 純粋円偏光 / スピン軸変換 / 非線形効果 / 結晶性トンネルバリア / スピン軸転換
【研究成果の概要】
スピン発光素子で純粋な円偏光が得られるという実験の再現と物理的機構解明に挑んだ。新しい素子化工程とパルス的スピン注入実験により、1平方センチメートルあたり100Aを超える領域で円偏光増大が開始されることを見出すとともに、これを越えると、素子の短絡化・発光強度劣化が開始されることを見出した。このことは局所発熱によるフォノン数増大が円偏光増大と素子特性変化に関わっている可能性を示唆している。すなわち、注入電子の右・左まわりスピンがフォノンとの非弾性散乱により片方のスピン成分に偏極する。発光の再吸収・再放出も関与するだろう。一方、光強励起による実験は、用意した光源の光励起密度が足りずに失敗に帰した。
【研究の社会的意義】
新しい素子化工程とは ① 極薄AlAs結晶層の積極的酸化によるスピン注入バリアの形成、ならびに、② メカニカルマスクによる微小スピン注入電極の直接形成を指すが、基礎研究を小回り良く(少量・多種類)進めることに向いた手法である。電流パルスによるスピン注入実験、こちらは半導体レーザ研究開発において局所加熱を回避する手法であるが、円偏光増大に際してフォノンが寄与する可能性が高いことをえぐり取ったという点で、理論提唱された円偏極フォノン [J. Kishineら, PRL 125, 245302 (2020)] とキャリアスピンとの間の散乱の重要性を示唆する結果であり、今後の波及効果が期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
西沢 望 | 東京工業大学 | 科学技術創成研究院 | 助教 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】43,290千円 (直接経費: 33,300千円、間接経費: 9,990千円)