スピン・電荷・光-結合系の新機能開拓
【研究分野】物性Ⅱ
【研究キーワード】
スピン・電荷・光-結合系 / 強相関電子系 / 酸化物エレクトロニクス / 光誘起相転移 / 非線形光学効果 / 量子位相 / 量子スピンホール効果 / 時間分解磁気光学分光 / 遷移金属酸化物 / 電荷秩序 / 磁場誘起強誘電分極フロップ / 異常ホール効果
【研究成果の概要】
固体において電子間の相関によって発現する磁性と光学応答の結合などによる特異機能の探索とその応用について、メンバーの連携の下で以下のような研究を進めた。
(宮野)光誘起相転移などの特異物性の応用を念頭に、薄膜試料作製技術の開拓を進め、薄膜中で構造相転移を許容できる事を実証し、永続的光誘起絶縁体・金属転移や新しいタイプの超巨大磁気抵抗効果を見いだした。(十倉)スピンの幾何学配置が誘電応答に与える効果に着目し、物質開拓を進め、特異な分極やスピンの構造によって生じる光学的電気磁気効果や巨大非線形カー回転効果を発見した。サイクロイド型磁気構造を持つ物質で、ジャロシンスキー守谷相互作用の逆効果を通じて分極が生じた磁性誘起強誘電性を発見した。これらの効果がトロイダルモーメントやスピンカイラリティーといった概念によって特徴づけられることを示した。(鹿野田)分子性結晶を用いて、三角格子量子スピン液体のモット転移近傍で発現する特異なスピン-電荷結合相と超伝導の特異性を明らかにすると共に、電荷-格子強結合現象である中性-イオン性転移の量子臨界揺らぎの観測に成功した。(永長)スピン流の物理を現象に即して理論的に開拓し、熱の発生を本質的には伴わないスピン流が波動現象特有の幾何学的ベリー位相により駆動されることを発見した。スピンと電場、光の結合をターゲットとしてスピンホール効果を絶縁体への拡張、光のホール効果の予言、マルチフェロイック物質の基本的機構を記述する理論を確立した。(五神)多体の電子相関に起因する光機能の開拓を行った。磁性半導体において、磁気カー効果と中赤外過渡分光を組み合わせ、強磁性が磁気ポーラロンを媒介として発現していることを見いだした。テラヘルツ領域の高感度エリプソメトリー法による、非接触ホール効果測定法の開拓、強磁性半導体から磁化に起因する高効率テラヘルツ放射を観測した。
【研究代表者】