生体計測に整合するナノチューブの形成と次世代バイオセンサへの応用
【研究分野】マイクロ・ナノデバイス
【研究キーワード】
カーボンナノチューブ / ナノテクノロジー / 有機トランジスタ / ナノチューブ / バイオセンサー / 電解硬化トランジスタ
【研究成果の概要】
カーボンナノチューブは、ナノメートル領域におけるセンシングに適した多くの優れた特徴を有する。特に、半導体性ナノチューブの電界効果トランジスタ構造(field-effect transistors, FET)においては、そのコンダクタンスがキャリア密度に非常に敏感であるため、センサー用途に非常に適している。ナノチューブ・トランジスタは、Kongらによってガスセンサーに応用した例が報告されている。しかしながら、生体系分子の分析には、ほとんどの場合、水中環境が要求される。無機半導体デバイスや有機半導体デバイスにとって、水は悪影響を及ぼす原因となる。ナノチューブもこの例外ではない。このため、ナノチューブを水に暴露した状態で、そのコンダクタンスを安定して計測するための手法を確立することは非常に重要である。本研究では、単層カーボンナノチューブをチャネル層に用いた電界効果トランジスタを形成し、電極を保護するユニークな手法を施した結果、カーボンナノチューブのコンダクタンスを電界効果構造で水中において計測することに成功した。カーボンナノチューブは気相堆積法によってパターニングを施した基板の上に形成される。そして、電極は、シャドーマスクによって形成される。我々は、ナノチューブ・トランジスタにおいて、水を媒体とした特性の劣化は、主としてコンタクト領域においておこることを見出した。今回の実験では、このコンタクト領域は、疎水性の感光性エポキシでコーティングが施され、水による劣化が最小限になるようになっている。コーティングを施した後、ソース・ドレイン電極の間の真ん中当たりにスリットを開けた。このようにして、ナノチューブのチャンネル層のみが直接水に暴露された場合に、デバイスの水への応答は閾値電圧がシフトすることを見出し、これは可逆的でかつ再現性があることを見出した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
荒川 泰彦 | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 教授 | (Kakenデータベース) |
石田 悟己 | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】3,700千円 (直接経費: 3,700千円)