薄膜―固体界面のエネルギー輸送特性の解明
【研究分野】熱工学
【研究キーワード】
境界熱抵抗 / 界面 / 薄膜 / 反射率温度測定法 / 反射率 / 3ω法 / 熱抵抗 / フォノン
【研究成果の概要】
半導体素子内部の局所微小領域において発生した高密度な熱を除去するためには熱伝導により基板または素子表面まで熱を効率的に輸送し、素子表面から沸騰伝熱等により熱除去を行うことが重要となる。この場合、幾層にも積層された薄膜間を熱エネルギーが輸送されることになるが、この薄膜境界では境界近傍の原子・分子の構造および運動の特異性からバルク内のエネルギー輸送とは異なった特性を持つと考えられる。本研究では界面近傍における原子・分子の構造およびそれらの運動特性と薄膜界面でのエネルギー輸送特性を原子レベルで明らかにし、さらに薄膜製作方法や製作条件による界面近傍の構造や特性の違いを明らかにすることにより、界面でのエネルギー輸送特性の優れた集積回路を形成するための指針を確立することを目的としている。
平成11年度は、真空蒸着によりガラス、NaClおよびMgO単結晶基板上にAu、Ptの薄膜を作成し、これを通電加熱またはレーザー加熱し、薄膜表面の光反射率の温度依存性を利用することにより薄膜温度の時間変化を求める計測システムを構築した。また、3ω法を用いた簡便な反射率温度係数の較正方法を提案し、これによりAu、Ptの反射率温度係数としてそれぞれ-4.15x10^<-5>[1/K]、-3.51x10^<-5>[1/K]の値を得た。また、実験結果と1次元非定常熱伝導シミュレーション結果を比較することにより、種々の薄膜基板間の境界熱抵抗を測定し、多くの場合に10^<-8>から10^<-7>[m^2K/W]程度になることを示した。
平成12年度は、あらたに薄膜型熱電対を用いた境界熱抵抗の計測手法を提案した。また、薄膜基板界面における境界熱抵抗が、ミスマッチモデルによる熱抵抗と界面近傍における電子とフォノンの非平衡性による熱抵抗の和として記述されることを理論的に明らかにした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
鈴木 祐二 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
中別府 修 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)