高速分子動画撮影による結晶化過程の四次元解析
【研究キーワード】
核形成 / 結晶成長 / 結晶化 / 透過電子顕微鏡 / 電子顕微鏡 / 動的挙動解析 / 無機化合物 / 時間分解能
【研究成果の概要】
前年度に引き続き,原子分解能単分子時間分解電子顕微鏡(SMART-EM)イメージング法によって結晶化過程における分子レベルの詳細を追求した.結晶学的に最も汎用的な塩化ナトリウム(NaCl)をモデル基質として選定し,前年度は核形成の詳細を明らかにしたが,本年度は結晶成長におけるイオン対の動的挙動を高速撮影可能なカメラによって解析した.数原子程度から構築されるクラスターは結晶表面長を浮いており,自由に拡散することが明らかとなった.横,縦,奥行き,そして時間軸の4次元的なクラスター挙動の詳細を精緻に解析することに成功した.モンテカルロ法によって観察結果の妥当性を検証しているところである.
本申請研究では観察対象の拡充を目指した検討も同時に行った.NaClだけでなく他の陽イオン,陰イオンなど多岐に渡る基質への展開可能性が明らかになりつつある.透過電子顕微鏡と高速動画撮影が可能なカメラを組み合わせることにより,結晶化過程における4次元的な振る舞いの顕在化に成功した.より動的な視点で科学現象を捉えることにより,化学現象に対する知見の深化が期待できる.また目で見る分子動画は教育に対する貢献も明らかとなっており,実際に目で見る化学教育の実現がまたれる.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)