グラフェン欠陥構造に現れる局在スピン状態の制御
【研究分野】ナノ構造化学
【研究キーワード】
ナノグラフェン / 電子輸送 / プローブ顕微鏡 / ブレイクジャンクション / 走査型トンネル顕微鏡 / ブレイクジャンクション法 / 電気伝導度 / グラフェン / グラフェンナノリボン / 欠陥 / 電子状態
【研究成果の概要】
アセン前駆体の表面重合反応を用いたボトムアップ手法によりジグザグエッジを両端に持つグラフェンナノリボンを合成した。単分子の伝導度計測結果の統計的な解析から、数ナノメートル程度の分子長を示すグラフェンナノリボンは高い電気伝導度を示すことが分かった(>0.1 G0、G0= 2e^2/h)。また、分子長が数ナノメートル程度のグラフェンナノリボンについて、理論計算を行った。その結果、グラフェンナノリボンに特徴的な局在スピンの相互作用により単分子の電気伝導度が変化すること、そして、グラフェンナノリボンの長さに応じて、局在スピンの相互作用の大きさが変化するため、電気伝導度が変調されることを明らかにした。
【研究の社会的意義】
本研究では、これまで実験的な検証が難しかった、欠陥構造の単離と構造同定に正面からら取り組むことで、グラフェンの化学活性の源である局在スピン状態を明らかにした。グラフェンナノ構造を表面に単離することで初めて、高活性な局在スピンを有するグラフェンの物性評価に成功した。本研究の成果は、これまでにないグラフェンエッジ構造に現れる局在スピン状態を利用し電子材料への展開に加え、化学活性、そして水素発生電極材料、酸素還元電極材料としての触媒機能や水素吸蔵機能、炭素磁気機能の開発に寄与するものである。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2017-04-01 - 2020-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)