3つのレーザー励起によるX線1分子追跡法を用いたヘモグロビン動態の全貌決定
【研究キーワード】
ヘモグロビン / アロステリック効果 / 1分子計測 / X線 / 光励起 / X線1分子追跡法 / 1分子内部動態計測 / レーザー励起動態 / 光励起1分子計測 / X線1分子動態 / レーザー励起 / 分子内部動態 / マイクロ秒高速1分子
【研究成果の概要】
四量体ヘモグロビン(Hb)のアロステリック現象は、タンパク質科学における基本原理であり、最大の未解明現象である。Hbには強いアロステリック効果があり、付随して起こる大規模高次構造変化(アロステリック転移)がその根幹メカニズムと考えられている。だが、その過程を直接観察した者は未だ誰もいない。2013年ノーベル化学賞受賞者のKarplusによって、Hbアロステリック転移の動態特性が2011年に計算された。私たちは7年前からX線1分子追跡法(Diffracted X-ray Tracking: DXT)を用いたHbアロステリック転移の1分子動態直接観察を部分的に成功してきた。DXTは、X線を用いた独自の時分割型1分子計測法であり、Hb分子内部動態1分子計測に適用可能な唯一無二の手法である。しかし、6年間のDXT測定結果から、Hb分子内部動態特性の複雑さは予想を遥かに超えていた。本研究では、この極めて複雑なアロステリック分子動態に対して説得力を持って決定的測定をするために、可視(CO photolysis)での光励起DXTを行っている。この結果を皮切りに、Hbアロステリック動態の全貌を明確化することを目的としている。
結果としてレーザー照射後に15-30度のχ方向の回転運動がしっかり確認できるようになったが、予想される分子動態が計測される確率があまりに低かった。今回の実験では、この運動が予想以上に高速ではないかという仮設の上にたって、運動速度を遅くするために、金ナノ結晶のサイズを1.5-2.0倍に大きくして、水溶液の抵抗(粘性)を向上させる方法を検討し、実験を試みた。結果、非常に大きな運動の検出確率が向上した。また、金ナノ結晶以外の標識プローブでの評価も進めることにした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
関口 博史 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター | 回折・散乱推進室 | 主幹研究員 | (Kakenデータベース) |
柴山 修哉 | 自治医科大学 | 医学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】46,800千円 (直接経費: 36,000千円、間接経費: 10,800千円)