持続可能な発展のための超長期資源利用システムの研究
【研究分野】エネルギー学一般・原子力学
【研究キーワード】
持続可能限界 / 資源利用 / 環境排出 / 世界エネルギーモデル / ライフサイクル統合収支 / CO_2回収,処分技術 / 再生可能資源利用技術 / CO_2回収、処分技術 / エネルギー収支 / 階層構造データベース / 太陽光発電システム / 持続可能性限界
【研究成果の概要】
超長期における資源の消耗と、地球規模の環境問題は人類の持続可能な発展を脅かす重大な問題である。本研究では、まず、エネルギー資源の消費とCO2放出量の変化率に着目し、資源および環境の持続可能限界の概念を定義した。この定義に基づき、現在のエネルギー消費量の変化率が、持続可能限界からどの程度乖離しているかを定量的に表した。
次に、超長期、世界全体のエネルギーモデルを開発し、シミュレーションをおこなうことにより、二通りのシナリオを提示した。シナリオ1は、エネルギー資源および技術が、その費用に応じて市場に導入される基準シナリオとし、経済的インセンティヴを付加しない。これに対しシナリオ2では、持続可能限界と当該時点のエネルギー消費量変化率の乖離に基づく経済的インセンティヴを付加した。シミュレーション結果から、シナリオ1では、資源、環境の両面における持続不可能な状態を脱することができないが、シナリオ2では、化石燃料に基づく現行のエネルギーシステムが、インセンティヴにより持続可能なエネルギーシステムに移行することが示された。
また本研究においては、システム全体の評価との整合性を保証できる新しいライフサイクルアセスメントの配分手法を開発し、地球環境改善の鍵となる技術にこの手法を適用し、その持続可能性への影響を分析した。評価対象となる技術の多くは、地球規模、地域規模の持続可能性への影響に関するトレードオフ関係を有している。これを実例によって示し、各資源、環境排出の現状の持続可能性を基にトレードオフ関係下での技術選択をおこなうモデルを開発した。
これによると、再生可能資源利用技術のエネルギー収支が、持続可能なシステムを実現するための重要な指標となり、CO2の回収・処分技術も過渡的ではあるが重要な役割を果たすことが示された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大村 昭士 (大村 昭二) | 東京大学 | 工学系研究科・地球システム工学専攻 | 助手 | (Kakenデータベース) |
松橋 隆治 | 東京大学 | 工学系研究科・地球システム工学専攻 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1995 - 1996
【配分額】1,900千円 (直接経費: 1,900千円)