グローバリゼーション下の東南アジアの社会変容と地域変化
【研究分野】人文地理学
【研究キーワード】
東南アジア / 農業社会変容 / 地域分化 / 都市化 / グローバル化 / 農業商業化 / 環境劣化 / 近代化 / 土地利用集約化 / 商業化 / 農地転用 / 商業的農業 / 商品作物 / 農業変化 / 土地利用変化 / 東南アジアの社会変容 / 稲作革新技術 / 労働力移動 / 森林破壊
【研究成果の概要】
本研究は、研究分担者・協力者13人と海外共同研究者4人からなる研究組織により実施された。最初に設定した主要課題項目(植民地支配、近代化政策、農業商業化、階層分化、労働力移動、都市化、環境変化)に沿って、年次ごとに重点を少しずつ移動させながら現地調査と研究集会を繰り返し、3年目には国際会議を開催した。最終報告書の構成は、植民地下の社会変容(第7・11章)、近代化政策(第2・3・8・9・12章)、それに伴う農村および都市の社会変容(第4・5・6・13・15・16章)、その地域的投影としての地域分化(第1・10・14・17章)からなる。変化の態様は同じ東南アジアでも地域ごとに多様で共通していえることは多くはないが、以下の諸点はほぼ確認できた。第1に、1960年代の東南アジアでわれわれが目の当たりにしたのは、いわゆる伝統的農民社会ではなくて、植民地期に大きく変貌した後の農民であり、農民社会であった。第2に、1970年代以降の農業社会変容は、基本的に「緑の革命」とその後の農業商業化を契機とするものであった。それは生産物と同時に生産過程の商業化を進めて農村部に一大農業資材・サービス市場を形成、それに地元の米穀商など商人層がすばやく反応した。第3に、近代化政策は農村住民を大量に農村から排除した。大半は雇用を求めて都市に移動したが、かなりのものが土地を求めて山地部に向かい、商業伐採跡地などの貧弱な二次林に住み着いて焼畑耕作を行った。これが森林の後退につながった。第4に、東南アジアの農村経済はどこでも所得の源泉を農業から非農業部門に拡大した。土地利用は稲から換金作物へ、農地から非農業用地へと転換した。この傾向をどう解釈するかが重要であるが、それには農村実態調査の更なる蓄積、近代化過程の国際比較、理論的研究としての「農業問題」研究の再開・継続が必要に思われる。
【研究代表者】