稲作北限域における農耕化プロセスの研究
【研究キーワード】
稲作 / 弥生時代 / 土器圧痕 / 東北 / 炭素・窒素同位体比分析 / 農耕 / 石器 / 使用痕 / 北東北 / 同位体分析 / DNA / 北限域 / 水稲農耕文化 / 水田 / 垂柳遺跡 / 砂沢遺跡
【研究成果の概要】
○研究実施計画ⅰについて: 遺跡出土イネの分析に適用できるマーカー開発を目的として,温帯・熱帯ジャポニカならびに日長反応に関わる遺伝子を対象とした分析を実施した。研究により、温帯・熱帯を識別可能なマーカーは開発困難であったが、日本の陸稲品種を温帯ジャポニカと分類しうるマーカーが開発できた。大阪府弥生文化博物館との共同研究に基づき、佐藤敏也資料炭化米塊のX線CT撮影を実施し、これを完了した。弘前市教育委員会の協力を得て、岩木山麓域出土大洞A´式~田舎館式期の土器の脂質・同位体分析を実施した。第38回日本文化財科学会で発表した胎土分析の成果「東北の弥生土器はどこで作られたか;類遠賀川系土器の胎土分析」において、ポスター賞を受賞した。
○研究実施計画ⅱについて: 昨年度に引き続き弘前市湯の沢遺跡の発掘調査を実施した。調査の結果、津軽半島では初となる弥生時代前期砂沢期の大型住居跡を検出することに成功した。また当該期に関する土器や石器などの貴重な資料を得た。コロナ禍で一般公開はできなかったが、報道公開し成果の還元を図った。平川市との共同研究により、杉館(1)遺跡、高樋(1)遺跡の試掘、研究者間の意見交換会を行うとともに、各層序のプラント・オパール定量分析を実施し、水田包含層の存否を検討した。各遺跡についてドローンを用いた三次元計測を行うとともに、微細地形解析を実施した。
○研究実施計画ⅲについて: 穀物の検出を目的として、三沢市小山田(2)遺跡出土土器を対象としたレプリカ法による調査を実施した。また、収穫具の発見を目的として、平川市井沢(1)・大光寺新城跡遺跡出土石器を対象とした石器使用痕分析を実施した。
【研究代表者】