霊長類採食活動多様性の感覚的基盤
【研究分野】自然人類学
【研究キーワード】
味覚 / 嗅覚 / 視覚 / 受容体 / コロブス / マカク / 霊長類 / 採食行動 / 採食
【研究成果の概要】
動物が採食活動を行う際、視覚・嗅覚・味覚等の感覚を頼りにして採食品目の選択を行う。そのため、これらの感覚受容体の特性を知ることが、採食戦略の分子基盤を解明する一つの手がかりとなる。本研究では、世界各地の霊長類の視覚・嗅覚・味覚等の感覚を分子レベルから生態レベルまで比較検討することにより、採食活動に対する感覚の重要性を検討した。その結果、各地の霊長類は多様な感覚を持っていることが示され、単独または複数の感覚を採食の際に利用していることが示唆された。
【研究の社会的意義】
ヒトを含む霊長類は様々な食性を示すが、その分子メカニズムはあまりよくわかっていませんでした。本研究では、視覚・嗅覚・味覚等の感覚に注目することにより、食物を選択する際にどのような感覚を主に使っているのか記述することに成功しました。例えば、アジアの葉食ザルは苦味や甘味の感覚が減弱していることがわかったため、食べ物を選ぶ際にはこれら以外の感覚を手がかりにしていることが示唆されました。また、中南米のサルの長期観察等により、味覚以外にも視覚や嗅覚を組み合わせて果実等を選んでいることが示されました。ヒトの食物について考える際に、こうした進化的な背景も考慮する必要があるかも知れません。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
三上 章允 | 中部学院大学 | 看護リハビリテーション学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
河村 正二 | 東京大学 | 大学院新領域創成科学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
辻 大和 | 京都大学 | 霊長類研究所 | 助教 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2015-04-01 - 2019-03-31
【配分額】16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)