花粉管の反応性獲得を誘起する糖タンパク質の発見に基づく花粉管成熟機構の先駆的研究
【研究分野】形態・構造
【研究キーワード】
植物 / 花粉管 / ガイダンス / 胚珠 / 糖タンパク質 / 花粉管ガイダンス / 助細胞 / 受精能獲得 / 細胞間コミュニケーション / タンパク質
【研究成果の概要】
花粉管に受精能を与えるAMOR(AMOR ; Activation Molecule for Response Capability)タンパク質を同定し、その生理生化学的性質を明らかにした。花粉管は雌蕊から2段階の制御を受ける。すなわち、花柱組織で未知の仕組みによる第一段階の制御を受けた花粉管が、さらに胚珠に由来するAMORの作用で反応性を獲得する。AMORの分画・精製を進めたところ、胚珠の胞子体組織から分泌される平均分子量70kDaのタンパク質であることを見出し、電気泳動後に目的バンドを切り出して活性を確認した。AMORは強い熱耐性を持つ。興味深いことに、当初糖タンパク質(AGP)と思われたAMORは、AGPsと複合体を形成して花粉管に作用することが明らかとなった。タバコの自家不和合性においても、細胞間シグナリングに関わる,RNaseが雌蕊組織から分泌され、糖タンパク質に覆われる形で花粉管に作用することが示唆されており、雌蕊内部での細胞間シグナリングの重要なメカニズムを反映しているのかも知れない。AMOR自体には糖鎖がついていないことが示唆された。さらに、花1万個からのAMORの精製および質量分析による解析を試みたが、シグナルが弱く、同定には至らなかった。そこで、花12万個を用いた精製を行うことを決め、花13万個以上からのサンプルの回収を達成した。今後、この試料をもとにAMOR遺伝子の同定ならびに受精能獲得の分子機構解明が進められることが期待される。
【研究代表者】
【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)