無脊椎動物神経ネットワーク活動の光学的計測システム開発
【研究分野】動物生理・代謝
【研究キーワード】
無脊椎動物 / アメリカザリガニ / 光学的計測システム / 樹状突起 / シナプス活動 / カルシウム蛍光指示薬 / 画像処理・解析 / 中枢細胞 / 蛍光細胞内染色 / LDS細胞 / 画像解析 / 入力シナプス
【研究成果の概要】
無脊椎動物神経ネットワークにおけるシナプス活動を生理学実験と並行して光学的に計測し、細胞レベルでのシナプス機能部位を可視化する試みとして、細胞内Ca^<2+>動態を、実体解剖顕微鏡下で視覚化するための細胞蛍光像取り込み・解析装置を試作した。用途として、アメリカザリガニの全体標本を用いた生理学実験での使用を想定した。中枢神経系内の神経細胞内に、Ca^<2+>濃度の指示蛍光物質であるFura-2をガラス管微小電極により注入し、その蛍光像を、実体解剖顕微鏡(接眼×20、対物×0.5、作動距離20cm)に装着したペルチエ素子冷却型高感度CCDビデオカメラで光電変換した後、その画像をパーソナルコンピュータに転送して画像処理を行った。露光には、ビデオ標準露光時間(33ミリ秒)の512回連続加算を行った。(16.9秒)。脱分極性シナプス活動を引き起こすための電気刺激は、露光時間中に1Hzで繰り返し、その取り込み蛍光画像を、無刺激時の同時間露光と比較した。シナプス活動は、蛍光測定時に細胞内電極により記録した。蛍光励起は、超高圧水銀ランプ(100W)からフィルターで抽出した2種類(341.7nm、379.7nm)の紫外光照射により行った。
画像は、8ビット256階調のモノクロデータとして768×493のピクセル解像力で取り込んだ。いずれの波長の励起光照射に際しても、肉眼では実体解剖顕微鏡化でほとんど細胞形態を識別することは不可能であったが、画像取り込み後の対数・シグモイド変換等により、これを視覚化することが可能となった。刺激の前後で、蛍光像の差を取り、これに種々の変換増幅をソフトウエア的に行うことによって、刺激によって蛍光が変化する部位を細胞全体像の中で同定することが可能であった。シナプス賦活にともなう細胞活動は、実体解剖顕微鏡下でも、画像解析処理によって視覚化することが十分可能であることが実証された。
【研究代表者】