深海ベントスの分布と幼生生態:化学合成群集と海溝最深部動物相の進化を探る
【研究キーワード】
深海 / 多様性 / 進化 / 生物地理 / 幼生 / 海溝 / 系統 / 底生動物 / 初期発生 / 系統樹 / 殻
【研究成果の概要】
熱水・冷湧水を含む化学合成系の底生動物は,いついかなる環境からどのように現在の系に進出したのか? また,化学合成系外の深海,特に6,500m以深の超深海において,何がベントスの垂直・水平分布を規定し,種分化はいかにして生ずるのだろうか.本研究では、貝類と甲殻類の複数系統を対象に,浅海から海溝最深部まで,化学合成系・非化学合成系の試料を採集,個々の種の生息環境と深度分布を詳細に把握し,種間系統樹構築と化石記録参照により,各環境・深度への進出ルートと絶対年代を探索した.その結果,初期発生様式が,異なる環境・水深・地域間の進化的・生態的タイムスケールでの移動を規定する主因の1つであることを示した.
【研究の社会的意義】
学術的意義: 深海における生物群集の成立と維持機構,種超階級から個体群レベルでの多様性,個体群間の移動,幼生の生活史など,海洋生命系の理解に関する基礎知識を得た.ことに,深海熱水噴出域や海溝最深部における動物種の分布や種組成,分子系統樹構築による各環境進出過程の理解を進め,幼生分散が与える影響の大きさを明らかにした.
社会的意義: 熱水噴出域周辺のレアメタル鉱床開発にあたっては、特異な生態系を保全するため、そこにすむ生物の多様性や生態を詳しく知る必要がある.海溝域を含め,海洋保護区の設定にも貢献する知見を得られたと考える.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
遊佐 陽一 | 奈良女子大学 | 自然科学系 | 教授 | (Kakenデータベース) |
佐々木 猛智 | 東京大学 | 総合研究博物館 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2022-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)