地衣類の共生コンビネーションの可塑性と多様性-北極から南極までの系統理地学
【研究分野】生物多様性・分類
【研究キーワード】
地衣類 / イワタケ類 / 共生関係 / 微生物相 / 可塑性 / 分子系統 / 生物地理 / 系統地理 / 共在微生物 / 微生物 / 次世代シーケンシング / ゲノミクス / 極域 / ルウェンゾリ山 / ギアナ高地 / 北極 / スヴァールバル諸島 / スピッツベルゲン島 / 系統分類 / 菌類 / 藻類
【研究成果の概要】
世界の陸域に広範囲に分布するイワタケ類地衣類の共在微生物相を生物地理的な観点から解析するため、すでに南極やアフリカ赤道域から採集したイワタケ類に加え、フィンランドの北極・亜北極域、赤道域のギアナ高地、カナダ亜北極域、南アフリカおよびオーストリアアルプスでイワタケ類を採集し、かつ、国立極地研究所から北極圏スピッツベルゲン島産のイワタケ類を入手した。
これらのイワタケ類試料について菌類・藻類と共在微生物相の小サブユニットrRNA遺伝子解析および網羅的マイクロバイオミクス解析を行った。その結果、南極域と非南極域の間に生物地理的な境界線、いわば地衣類微生物の「ウォレス線」が引けることが示唆された。
【研究の社会的意義】
地衣類は、人類の将来的な課題「火星テラフォーミング」において“最初の光合成生物”として送られる“先遣生物”になる可能性がある。地球でもっとも火星に近い環境は南極であるが、その南極の地衣類の共在微生物相が他地域と大きく異なることは、火星先遣生物の検討材料になると考えられる。また、本研究で得られた「同じ共生藻種でも葉緑体が異なる」という知見は、環境ストレスに応じた光合成オルガネラのバリエーションを暗示し、やはり火星先遣生物の検討項目を提示したことになると考えられる。このように、本研究には、火星テラフォーミングという、直近ではないが将来的な重要課題に取り組む足場を築くという意義があると考えられる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
伊村 智 | 国立極地研究所 | 研究教育系 | 教授 | (Kakenデータベース) |
辻本 惠 | 慶應義塾大学 | 環境情報学部(藤沢) | 講師 | (Kakenデータベース) |
中井 亮佑 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 生命工学領域 | 研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2016-04-01 - 2020-03-31
【配分額】16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)