気球リモートセンシングシステムによる生態系調査手法の確立
【研究分野】生物環境
【研究キーワード】
リモートセンシング / 環境モニタリング / 係留気球 / スペクトルメータシステム / 分光反射特性 / 樹高推定 / 生態系のバイオマス / ステレオ空中写真 / 湿地域の植生タイプ / 植生の分光反射特性 / 群落の反射スペクトル / マルチスペクトル反射 / 可視光域 / 近赤外域 / 方向性分光測定 / 地球環境のモニタリング / キャノピ-生理特性 / 空中写真撮影システム / 植生図 / ステレオ写真
【研究成果の概要】
地球環境のモニタリングは種々の形で進められている。マクロな調査としては衛星リモートセンシング画像解析が多くの研究者によって、また、ミクロ的なフィールド調査としては熱帯林、あるいは砂漠での環境モニタリングが精力的に行われている。しかし、これらマクロおよびミクロ的研究の結びつきは必ずしも有機的に行われているとは言いがたい。衛星データによる面としての研究、地上部における気象観測・生態調査のような点としての研究、これら両者の研究を結びつける必要がある。そこで本研究では、係留気球を用いた、多段型リモートセンシングシステムを開発することを目的として研究を行った。次に主たる研究結果を示す。
1) キャノピー生理特性の推定:スペクトルメータシステムの開発を行った。
測定波長域としては500nm〜1、000nm、測定周期2〜3nS、測定視野300mで直径30mのスポットを持ち、気球に掲載可能なシステムの開発を行った。開発したスペクトルメータシステムを用い、植生タイプごとの分光反射特性と、植物生産構造の特性との関係を明らかにした。類似した草冠の種判別には、鉛直方向よりも斜め方向からの分光反射が有効になることが分かった。すなわち、分光反射測定方向を選択すれば、湿原タイプごとの植生の判別が可能になることが明らかになった。
2) 生態系のバイオマスの推定:気球から撮影したステレオ空中写真を用いて、地表面の凹凸情報を解析し、生態系内の各樹高を求め、その生態系のバイオマスを推定する解析用アルゴリズムの開発を行った。本システムを用いて、樹高24m平均の自然林における、各樹木の高さの推定を行った。その結果、2〜2.5mの誤差で各樹高が推定できることが明らかになった。
【研究代表者】