精巣胚細胞腫瘍の分化調節に係るエピゲノム機構の解明
【研究キーワード】
精巣腫瘍 / 精巣胚細胞腫瘍 / セミノーマ / 胎児性癌 / DNAメチル化 / エピジェネティクス / エピゲノム / 分化調節 / 発生分化 / 予後予測 / 病理学
【研究成果の概要】
精巣胚細胞腫瘍（TCGT）は正常発生・分化の諸段階を模倣する腫瘍内分化を示す悪性腫瘍である。TGCTの各組織亜型は固有のDNAメチル化プロファイルを持ち、分化過程の順に変化していた。セミノーマは胎児性癌により類似し進行した症例を含むSem2とそうでないSem1の2群に明瞭に分けられた。セミノーマから胎児性癌への分化に寄与しSem1とSem2で有意に異なるDNAメチル化プロファイルは、染色体安定性保持に重要な領域で先行して生じていた。セミノーマの悪性度評価・予後予測指標として有用な発現変化に帰結し得るDNAメチル化変化を示す遺伝子も見出された。
【研究の社会的意義】
精巣胚細胞腫瘍は希少がんかつAYA世代に発生するがんである。形態学を基盤とした着想と技術に基づき、精巣胚細胞腫瘍がエピジェネティックに正常発生分化を模倣すること、形態学的に見分けのつかないセミノーマが悪性度の異なる2群に分けられることを明らかにした。これにより、最も頻度の高い精巣胚細胞腫瘍であるセミノーマの悪性度診断や予後予測、精巣胚細胞腫瘍の分化誘導療法の可能性を提示した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)