細胞質内ストレス顆粒形成による生命機能制御機構と疾患におけるその破綻
【研究キーワード】
ストレス顆粒 / 液液相分離 / がん / プロテオミクス / 液-液相分離 / ストレス応答 / RNA顆粒 / シグナル伝達 / アポトーシス / RNA
【研究成果の概要】
ストレス顆粒(SG)は特定のストレス刺激下で、液-液相分離現象を介して形成される細胞質内構造体であり、その本体はmRNAおよびRNA結合蛋白質等からなる複合体である。本研究では、SGの形成機構、生理機能、および疾患との関連を包括的に解明することを目標に解析を行った。まず、SGの構成分子を網羅的に同定するため、近接依存性タンパク質標識法を活用した新たな手法を開発して探索を行い、新規構成分子を多数同定することに成功した。またSGの生理機能に関しも研究を進め、SGが細胞死や自然免疫応答の制御に重要な役割を果たしていることを見出した。さらにSGの形成異常が癌の進展に寄与し得ることを明らかにした。
【研究の社会的意義】
近年、SGの形成異常が、癌、神経変性疾患、ウイルス感染症等の病態に深く関与することが見出され、注目を集めている。しかしながら、SGの形成機構やその構成分子の詳細は未だ不明である。本研究によって、新たなSG構成分子が多数同定されるとともに、SG形成機構の一端が明らかとなった。また、SG形成による細胞死・免疫応答制御機構を分子レベルで解き明かすことが出来た。さらにSGと癌病態との関連についても解析を進め、腫瘍組織内におけるSGの形成異常が、癌細胞の抗癌剤抵抗性獲得や癌の進展に寄与することを明らかにした。これらの知見を活用することで、癌などの疾病に対する新たな診断・治療法開発への応用が期待される。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)