性行動と母性行動の神経制御と性分化
【研究分野】生物形態・構造
【研究キーワード】
ロードーシス / 性分化 / 中隔 / エストロゲンβ受容体 / セロトニン / エストロゲン / 母性行動 / 新生期 / 性行動 / セロトニン神経 / 5-HT1A受容体 / 新生期エストロゲン / 性差 / GABA受容体 / 脳の性分化 / 中脳中心灰白質 / 5HT1A受容体 / ゲニステイン / ラット / 神経とレーサー / ペプチド神経伝達物質
【研究成果の概要】
1.ロードーシス抑制力をもつ外側中隔の解析
雌雄ラット中脳中心灰白質(MCG)に逆行性神経トレーサーを(フルオロゴールド、FG)注入し、FG,エストロゲンα受容体とβ受容体の染色をおこなった結果、(1)外側中隔(LS)のFG陽性細胞数は雌のほうが雄より多いこと、(2)LSにはβ受容体含有細胞のほうがα受容体含有細胞より多いこと、また、その数はエストロゲンに影響を受けないこと、(3)LSのMCGに投射する神経細胞のうちβ受容体をもつものは20%以下で、割合に雌雄差はないことが示された。また、出生5日目の雌ラットにestradiol benzoateを投与すると、FG陽性細胞数が減少することが明らかとなった。エストロゲンβ受容体に強く作用するgenistein(GS)を雌ラットに出生から5日間投与すると発情周期が消失し、ロードーシスが低下したことから、脳の性分化にエストロゲンβ受容体が関与する可能性も示された。
2.ロードーシス抑制に関わるセロトニン神経の解析
5HT1Aの受容体の3種類の作動剤(+または+-の8OH-DPAT、buspirone)を雌ラットに投与すると、15分でロードーシスが低下し、HT_<1A>受容体作動剤WAY-100635を投与するとロードーシスが促進された。また、前脳のセロトニン量をHPLCで測定した結果、性行動に関わる中隔、視索前野、視床下部腹内側核では雌のほうが多いことが示された。
3.幼若ラットの母性行動の性差解析
20日齢のラットは雌雄とも母性行動と同じ行動をする。その割合を調べた結果、雌は21.4%、雄は55.4%がレトリービングをした。30日45日になると雌雄ともレトリービングをほとんど示さなくなった。出生5日目の雌ラットに1m g estradiolを投与すると、20日齢のレトリービングの発現率は上昇し雄と同程度になり、性差が新生期のエストロゲンで影響を受ける可能性が示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
幸喜 富 | 早稲田大学 | 人間総合研究センター | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2002 - 2004
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)