脳下垂体ホルモンの進化
【研究分野】動物形態・分類学
【研究キーワード】
生殖背案刺激ホルモン / 脳下垂体 / 分子進化 / 糖タンパク質ホルモン / 立体構造 / 一次構造 / 受容体 / 脊椎動物 / 生殖腺刺激ホルモン / 黄体形成ホルモン / 濾胞刺激ホルモン / 光不応 / クローニング / 遺伝子発現 / サブユニット / cDNA / アミノ酸配列 / 特異性 / 進化速度 / β-サブユニット / α-サブユニット / 二次構造 / ループ / ウズラ / αヘリックス / β-構造
【研究成果の概要】
平成7年度には生殖腺刺激ホルモン分子の立体構造の推定の論文が出版された。我々は研究分担者輪古が開発した理論的な方法を用いて脊椎動物の生殖腺刺激ホルモンと甲状腺刺激ホルモンに共通な立体構造を推定していたが、これがX腺回折による結晶学的方法で調べられた国外での研究の結果と見事に一致していて、我々の推定が正しかったことが証明された。さらに生殖腺刺激ホルモンとその受容体との比較内分泌学的研究と、cDNAのクローニングによって推定された生殖腺刺激ホルモンの一次構造の研究から、ホルモン特異性を決定している部域が一次構造のどこかであるかを推定することができた。しかもこの部域は立体構造で見ると、受容体との相互関係や生物学的作用の発現に必須であるとされていう部域と立体構造的に隣接して存在することも明らかとなった。
また、ウシガエル、ヒキガエル、オーストラリアハイギョなどの脳下垂体糖蛋白質ホルモンαサブユニットのcDNAのクローニングに成功して、その塩基配列から推定したアミノ酸配列を他の動物のものと比較したところ、オーストラリアハイギョのαサブユニットの一次構造は、魚類よりも四足動物のものに近いことが分かった。
生殖腺刺激ホルモンは一次構造が進化の過程で大きく変化しても、その立体構造はきわめてよく保存されていることが明らかとなった。また、受容体との相互作用を行っている部分についても、立体構造からみる必要があることも明らかとなった。
【研究代表者】