植物の倍数化におけるゲノム進化の分子機構
【研究分野】系統・分類
【研究キーワード】
倍数体 / 進化 / シロイヌナズナ / 人工倍数体 / 巨大化 / マイクロアレイ / ジーンサイレンシング / 4倍体
【研究成果の概要】
倍数体進化は植物の重要な進化モードの一つである。しかし、(1)ゲノムが倍加することによりサイレンシングされない遺伝子の発現量は一様に増加するのか、それとも有る程度一定に保たれるのか、(2)特定の染色体上の領域がメチル化によりサイレンシングされるのか、あるいは特定の遺伝子が選択されてサイレンシングされるのか、(3)遺伝子族を形成する遺伝子は全ての遺伝子が同じようにサイレンシングされるのかはわかっておらずこれらの問題を調べるために以下の研究を行った。シロイヌナズナの開花前の茎頂に0.5%コルヒチンを処理し、得られた種子を播種した。次世代の種子のうち野生型(2倍体)よりも大きな種子をつけるものを選抜し、PIC(Polyploid Induced by Colhitin)ラインとした。これらのラインの葉を裁断しフローサイトメーターによってゲノムサイズを計測した結果4、6,8倍体が得られたことがわかった。4倍体の6ラインを選び同じ光、温度条件下で、子葉の形、成長、第5本葉の形と成長、花序形成までに日数とロゼット葉数、本葉のトライコーム数とその分岐、花序の成長と分岐数、花数、ガク片、花弁の長さ、種子サイズを測定した。その結果、測定したあらゆる部位が2倍体よりも大きくなっていることがわかった。子葉の横断切片を作り細胞の大きさを2倍体と比較したところ、細胞数に変化は無く細胞の大きさが大きくなっていることがわかった。また、4倍体はロゼット葉、花弁が生じること、トライコームの分岐数が増えること、花序形態が変化することがわかった。クラボウ社のジーン・エクスプレッション・マイクロアレイを用い、花序と若いシュート由来のcDNAをターゲットとして2倍体と4倍体の組み合わせについて、約8,000遺伝子それぞれの発現量の違いを比較する実験が進行中である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
塚谷 裕一 | 岡崎国立共同研究機構 | 統合バイオサイエンスセンター | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽的研究
【研究期間】2001
【配分額】2,200千円 (直接経費: 2,200千円)