チベット高原南部周縁地域における高等植物種の多様性と系統分化
【研究分野】系統・分類
【研究キーワード】
チベット高原 / 横断山脈 / ヒマラヤ / 高山帯植物相 / 倍数性 / 種多様性 / 高山帯植生 / 植物相比較
【研究成果の概要】
チベット高原南部周縁地域における高等植物種の多様性と系統分化の解析を行うために、3年度目にあたる本年度は、チベット高原南部周縁地域の南端にあたるネパールアルン川上流地域、およびチベット高原南部周縁地域の東端にあたる中国四姑娘山地域にて、8月から9月に現地調査を行った。
1 ネパールにおける調査では、トウヒレン属、メコノプシス属、ユキノシタ属、シオガマギク属、ツツジ属について、以下の成果を得た。1)細胞遺伝学を中心テーマとした野外での材料収集。2)特殊形態解析のための材料の収集。3)集団変異の解析のための材料の収集、および生育環境の調査。4)葉緑体DNA解析のための材料の収集。5)類似種を含めたの垂直分布の解析用の材料の収集。
2 中国における調査では、キジムシロ属、イグサ属、トウヒレン属、メコノプシス属、ユキノシタ属、シオガマギク属について、ネパールと同様の現地調査を行った。特に、キジムシロ属、イグサ属、ユキノシタ属について以下の成果を得た。
キジムシロ属については24種10変種を確認した。24種のうち、1種は新種であることが判明し、Potentilla polyphylloides H.Ikeda et H.Ohbaと命名し、記載を行なった。また、中国-日本に分布するキジムシロ属植物について、ヒマラヤ産の種と関連付け、生物地理学的考察を行なった。イグサ属については、2新種、Juncus gonnggaおよびJ.trochiphyllusを発表した。ユキノシタ属については、中国横断山脈地域において採集された種について、文献、シノニム、採集データをまとめた。
3 現地調査後、それぞれの材料について解析を行った。
4 これまでに得られた結果を検討し、報告書をまとめた。
【研究代表者】